第164回国会 厚生労働委員会 第13号
平成十八年四月十八日(火曜日)
   午前十時開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山下 英利君
    理 事
                岸  宏一君
                中村 博彦君
                谷  博之君
                円 より子君
                渡辺 孝男君
    委 員
                阿部 正俊君
                岡田  広君
                坂本由紀子君
                清水嘉与子君
                武見 敬三君
                中原  爽君
                西島 英利君
                藤井 基之君
                水落 敏栄君
                朝日 俊弘君
                家西  悟君
                島田智哉子君
                下田 敦子君
                津田弥太郎君
                辻  泰弘君
                森 ゆうこ君
                山本  保君
                小池  晃君
                又市 征治君
   国務大臣
       厚生労働大臣   川崎 二郎君
   副大臣
       厚生労働副大臣  赤松 正雄君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       岡田  広君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        江口  勤君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      荒木 二郎君
       法務省矯正局長  小貫 芳信君
       財務省理財局次
       長        浜田 恵造君
       厚生労働省健康
       局長       中島 正治君
       厚生労働省医薬
       食品局長     福井 和夫君
       厚生労働省医薬
       食品局食品安全
       部長       松本 義幸君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    中谷比呂樹君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○薬事法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○委員長(山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 薬事法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医薬食品局長福井和夫君外六名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(山下英利君) 薬事法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○島田智哉子君 おはようございます。民主党・新緑風会の島田智哉子でございます。
 冒頭、先週、家西委員から、また多くの先生方から問題点の指摘がございました既存の配置販売業者に対する経過措置についてお聞きしたいと思います。
 この問題につきましては、参考人の皆様からも様々な御意見、御指摘をいただきました。
 その中でも、この配置販売業に従事されている方々がこれまで果たしてこられた役割ですとか、その伝統を重んじなければならない、そしてそのためには何らかの経過措置が必要であるということについては共通の御認識であったと思います。
 しかし、そうはいっても、資格のない配置員が無期限に続くことは問題が大きいのではないか。花井参考人からは、ダブルスタンダードを容認する国の対応は配置販売業によっても被害が広がったスモンの教訓を踏みにじる暴挙ではないかという趣旨の御発言もございました。そして、検討部会会長の井村参考人からは、その経過措置の内容については検討会で議論されなかったとの御発言もございまして、やはり期限のない経過措置ということ自体、想定されていなかったのではないか、私はそのように感じました。また、常識的にも無期限という経過措置はやはり理解し難いのではないかと思います。
 この検討会の報告書が出された後、今回のような対応を取るに至った背景、経緯とはどういうことであったのでしょうか。
○政府参考人(福井和夫君) お答え申し上げます。
 厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会の報告書、昨年の十二月でございますが、これにおきましては、専門家たる販売従事者の資質につきまして、都道府県試験によりその資質を確認することが適当であると考えられるとしつつ、一方におきまして、購入者や事業活動に無用の混乱を与えることのないよう、何らかの経過措置を設けることが必要という具合にされたところでございます。
 御指摘の経過措置でございますけれども、この検討部会におきましては基本的な考え方というものが示され、この基本的な考え方を踏まえまして、当該経過措置の内容につきましては、行政側、私どもの方で具体化すべき問題であるという具合に認識をしたところでございます。
 申し上げますと、すなわちこの経過措置の具体的な内容についてでございますけれども、この報告書を踏まえまして、一つはまずこの配置販売が一定の社会的な役割を担っていること、それから配置販売が三百余年もの長い伝統の中で培われてきた我が国固有の販売形態、先用後利という具合に申しますが、でございまして、またこれに従事する者の知識、技能につきましては、例えば父から子へ、あるいは先輩から後輩へということで伝えられてきたという側面も保ちながら今日に至っている業界でありますこと、それから、今後もこの既存配置販売業者の販売品目につきましてはこれまで限定的に認められてきているものを基本とすること、こういったことから、既存配置販売につきましては、現時点におきまして、期限を切った経過措置を設ける、すなわち、期限を切ってその期限までに試験に合格しない者についてこの世界から言わば退場をしていただくというその経過措置は、私どもといたしましては、この業界にはなじまない、むしろ資質向上の努力義務を課することなどと併せまして徐々に新制度に移行を促していくことが適当であると考えまして、従来どおりの事業活動ができるとする経過措置を設けたものでございます。
 それから、ただいま委員からダブルスタンダードになる懸念と申しますか、この点についての御指摘がございました。私どもといたしましては、そもそもこの登録販売者を置いて事業を行う新規の配置販売業者、それから現在の既存の業者から移行する、これも含まれるわけでございますけれども、につきましては、販売品目が一挙に拡大をすると。成分で申し上げますと、現在の配置販売業者が取り扱える医薬品の成分が二百七十成分でございますが、これが一挙に四百七十成分、第二類、三類ということになりますので、拡大する一方におきまして、既存業者につきましては、申し上げましたように、基本的に今まで取り扱っていた品目に限定されるということで、取扱いの品目に差があるわけでございますので、私どもといたしましてはダブルスタンダードになるということは考えておりません。
 また、今回の法案におきまして、既存販売業者に対しましても、経過措置の中で、その取扱品目に関しまして本則の新制度における情報提供義務、あるいは販売区域ごとに管理者を設置をいたしましてその区域内における配置員を監督する義務といったものを課しているわけでございまして、この点から申し上げましても、ダブルスタンダードということではないという具合に考えているところでございます。
○島田智哉子君 確かに、家族代々継承されてきた重みでありますとか、高齢の方々がたくさん働いておられることの現状に対しての配慮については十分に理解をいたします。しかし、その一方で、都市部の大きな企業に対しても同じ扱いでよいのかどうかとなりますと、やはりそこは一定の歯止めが必要であると思います。
 この点でいいますと、同じく花井参考人から、従業員の数等で区別するなど規模に応じた設計ができるのではないかと、そのような御提案がございましたが、経過措置の内容について制度上そうしたきめ細かく設計することができるのではないか、その御提案に対してどのようにお考えになりますか。
○政府参考人(福井和夫君) ただいまの委員の御指摘でございますけれども、私ども、このそもそも薬事法でございますが、国民の保健衛生の向上に資するための医薬品の製造業者あるいは販売業者に対する規制法であるという具合に考えております。
 中小企業、例えば中小企業対策のように、法人か個人か、あるいは法人、会社の規模によって規制なりを変えるということにはこの薬事法はなじまないのではないかという具合に考えているところでございまして、薬事法上許可を得た業者につきましては、法人、個人あるいは法人、会社の規模を問わず一律に義務が掛かるものという具合に考えてございます。
 御指摘の点につきましては、これは個別の指導の問題であるという具合に認識をいたしておりまして、規模が大きいからとか小さいからということではなくして、必要があれば適切な指導を行っていきたいという具合に考えているところでございます。
○島田智哉子君 先週の報道では、今回の改正が骨抜きになるおそれが出てきたと、そのような記事がございました。これまで検討会委員の皆様方、あるいは多くの関係者の方々が御苦労されてまとめ上げられたこの結果がそのような評価になっては非常に残念なことでありますので、そうした評価につながらないような対応をお取りいただきたいと私は思います。
 それから、改正案の附則第十二条の「配置員の資質の向上に努めなければならない。」とする規定についても、それぞれの参考人から御指摘がございました。この点についても、結果として資格に結び付いていくような質の高い研修などになるように、それを国の責任として支援、助言、指導をしていく、そうした強い決意を大臣としてお示ししていただきたいと思いますが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(川崎二郎君) 今局長から答弁をいたしましたように、私も委員会で御答弁申し上げておりますけれども、配置薬販売業の将来的方向として、既存配置販売業者についても配置員が試験に合格して新制度に移行できるようになることが望ましい、これが基本的なまずスタンスでございます。
 そういった中で、まず第一に配置薬販売をされる業界の方々が、やはり国民からの信頼を得て仕事を進めていかなければならない。したがって、配置員の資質の向上を努力していかなきゃならぬと、これはまず前提にあると思います。一方で、今御指摘のように、国がそれに対してどういう協力をしていくんだと、またできるだけ試験に通るような体制まで持っていけないのかと、こういうことであろうと思います。そういった意味で、関係団体と粘り強く必要な助言を続けていくということがまず私どもの基本的なスタンスでなければならないであろうと。
 前提に、できるだけ試験を通っていただく、そしてその次に、やはり質をどうやって上げていくかという過程の中で、業界と私どもがしっかり連携をしながらやっていくと、この二つの課題に全力を挙げるということを重ねて申し上げておきたいと思います。
○島田智哉子君 資格に結び付けるということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(川崎二郎君) もちろん、お勤めの方でかなりの年齢になられている方々もいらっしゃいますので、全員がその方向付けになるかどうかというのは問題があると思います。要は、経験というものを十分評価しなきゃならない人たちもいらっしゃるだろうと、今までの仕事の中で。しかし、これからの方向付けとしては、できるだけ資格を取る方向で私どもも助言し、また援助をしていくということについては変わりございません。
○島田智哉子君 それから、やや細かい質問になりますが、今後は専門家と専門家ではない方と購入者に分かるようにしていくということですけれども、この配置販売員については、薬事法三十三条で身分証明書を携帯しなければならないとされておりまして、その様式については施行規則百五十八条で規定されています。
 今後は、この規則を改正してはっきりと購入者に分かるようにしていく、そういう理解でよろしいですか。
○政府参考人(福井和夫君) 委員、正に御指摘のように、新制度になりますと、この配置販売業の世界におきまして、既存配置販売業におけるこの登録販売者でない配置員、新制度による登録販売者である配置員とが併存をするということになるわけでございますが、取り扱える品目につきましても異なるということでございまして、購入者が容易に区別できるようにする、そういう工夫が必要と考えております。
 例えば、登録販売者である配置員とそれ以外の人を名札で識別するようにするということ、あるいは委員御指摘のように、これ現在におきましても配置員は身分証を携帯をしなければならないということになっておるわけでございますけれども、その身分証につきまして、今申し上げましたような区別を明らかにする、さらには、例えばですが、その身分証の色を違えるといったようなことも含めまして様々な工夫を検討をしていきたいという具合に考えているところでございます。
○島田智哉子君 是非とも、プレートなど色分けするなど、分かりやすくお願いしたいと思います。
 そして、リスク分類の表示についても十分なスペースを取って分かりやすくと、この点についても先週、家西委員から御指摘がございました。また、参考人の御指摘もございました。その中で、副作用被害者救済制度の周知徹底を図る、このことの必要性について強い御要請がございました。
 この点については、先月、医薬品医療機器総合機構の実態調査の中で周知が徹底されていない現状が明らかになりましたけれども、更に周知徹底を図っていかなければならないという御指摘、その具体的な方法として、医薬品製造業者に対して医薬品のパッケージ又は別添文書などによってこの制度の紹介を行う、そのことを是非厚生労働省からも強く働き掛けていただきたいとお願い申し上げたいのですが、恐れ入ります、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(川崎二郎君) どういう形でこの問題をより国民の皆さん方に理解をしてもらえるようにしていけるかという御下問だと思います。割合小さなパッケージに薬が入っていて、その中にいろいろな効能が書いてありますよね。それにもう一つこうしたものをしっかり加えていけということであろうと思います。
 基本的には、方向性としては、薬品メーカー自らそういう方向を示していった方がいいだろうと私も思います。ただ、一方で、現実にその仕事をいたしております製薬関係の団体それから医薬品医療機器総合機構、こういうところでこの方向性についてしっかり議論をしてもらって、できるだけ医薬品副作用被害救済制度というものが国民に理解されるように進めるべきだとは思います。
 いろんな議論を踏まえながらやっていきたいと思いますので、ここで私が強制的に今やらせるという御答弁にはなりませんけれども、方向性はできるだけ議論させたいと、このように思います。
○島田智哉子君 この、分かりやすいと、国民に分かりやすくしていただきたいというのは強く要望いたしたいと思います。
 それから次に、A、B、Cと三つのリスク分類の中で、Aが十一成分と極端に少ない、また、B分類に含まれているアスタリスク製品についてはオーバー・ザ・カウンターを義務付けにすべきではないかとの御指摘がございましたけれども、私も正にそのとおりだと思います。
 セルフメディケーション、この言葉が使われるようになって久しくなりますけれども、でも、いまだに一般化したとは言い難い、そんな状況にあると思います。セルフメディケーションを推進していくべきだと私も考えておりますけれども、その手段として、例えばスイッチOTCの薬の開発促進策も図っていく必要があると思っております。しかし、自らの判断で、自らの責任で購入、使用するに当たっては、薬剤師などの専門家による正確な、適切な情報提供と、その薬の安全対策については徹底した対応が必要であることは申し上げるまでもございません。
 今回の改正案はこのセルフメディケーションを適切に支援する観点からの提案であると認識しておりますけれども、そうした点について大臣のお考えをお聞かせください。
○副大臣(赤松正雄君) 私の方から答えさせていただきます。
 セルフメディケーションの必要性、大事さ、今委員からも御指摘あったとおり、私どもも、さきの厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会報告書において、セルフメディケーションの必要性、大事さ、言及されたとおり、しっかりとこれを適切に推進してまいりたい、そのように強く考えているところでございます。
 病状がしかし一向に改善しない、そういったふうなことが起きた場合、医師や歯科医師あるいは薬剤師等にしっかり相談をして、そうした専門家の指摘というものを留意していく、こういうことも必要であり、本報告書におきましても、販売時において購入者へ提供されるべき情報の例示として、一定期間服用しても病状が改善しない又は悪化した際には医療機関での診察を受けることが挙げられておりますし、また、相談対応には、病状が改善しない等の場合に医療機関での受診をしっかり勧めていく、こういったことも含まれていることが明記されております。ある意味で当然のことでございますけれども、厚生労働省としましてこういったことをしっかり留意をしまして、安全性の確保に最大限留意しつつ、先ほど一向にまだ本格的な定着を見ていないと、こう御指摘ありましたセルフメディケーションにつきまして、しっかりと本来的な意味において日本の社会の中に定着していくように尽力をしたい、こんなふうに考えているところでございます。
○島田智哉子君 私は、スイッチOTC薬のような特殊なものについては、専門家の関与についても、また陳列の在り方についてもできる限り慎重に対応すべきではないかと、そのように思っております。
 例えば、現段階ではBに分類されているニコチン、これなどは果たして薬剤師の関与がなくて十分な対応が取れるのかと大変心配をいたしております。その認識の下に、ニコチンを具体例としてこれからお聞きしてまいりたいと思います。
 このスイッチOTC薬の一つでもあり、Bに分類されているニコチンについては、その普及あるいは認知度としても相当に高い医薬品としてニコチンガムがございます。まあニコレットで皆さん御存じかと思いますけれども、この開発については面白い話があるんですけれども、一九六七年にスウェーデンの研究者によって考案され、初めはスウェーデンの海軍の潜水艦乗務員が航海中の禁煙による離脱症状を緩和するために開発されたと聞いております。その後、一九七八年、スウェーデンの企業によって禁煙補助剤としてニコチン製剤が禁煙に使われるようになったわけですが、我が国では平成六年に医師の診断により処方される医療用医薬品として承認されました。
 そこで、平成十二年の八月には一般用医薬品への切替え、スイッチOTCの申請が行われ、翌年の六月には一般用医薬品として承認されたわけですけれども、これまで副作用の発生状況についてお聞かせください。
○政府参考人(福井和夫君) 委員お尋ねのニコレットの副作用の発生状況という点でございます。
 ニコレットのスイッチOTC薬申請のために実施されました治験における副作用でございますが、評価が行われました二百二十九例のうち、口内炎、吐き気、胃部不快感などの消化管の障害が五十四件ございました。それから、頭痛、舌のしびれなど中枢・末梢神経系障害が十件ございました。それから、咽頭違和感、咽頭痛など呼吸器系の障害が十件、そういったことでございます。この副作用報告につきまして、重篤なものとして胃がん等の報告が二例ございましたが、これはいずれもこのニコレットとの因果関係はない旨、専門家より判断をされているところでございます。
 以上でございます。
○島田智哉子君 今の御説明ではそれほど副作用の事例はないということですけれども、しかし他方で、日本学術会議から、平成十七年七月二十一日、「ガムたばこの蔓延阻止に向けて」との報告をまとめておりまして、その中で、この医薬品であるニコチンガムについても健康障害につながる危険性を指摘しています。
 報告書によりますと、我が国では煙の出るたばこの害についてはあらゆる角度から指摘されているが、煙の出ないたばこについてはその習慣がなかったために科学的データがほとんどない、しかし、これが喫煙に代わって若者を中心に蔓延すれば、歯周病はもとより口腔がん誘発の危険性があり、しかも口腔粘膜の透過性が高いことから喫煙と同程度の循環器障害が懸念されると、ガムたばこの危険性について非常に強い懸念を示した内容となっているわけですけれども、実はこの報告書で具体的に指摘しているニコチンガムとして、この禁煙補助剤としての医薬品と、それから、今から五年ほど前にスウェーデンから輸入販売されているこちらのガムたばこというものがあるんですけれども、(資料提示)これら見掛けは余り、ほとんど変わらないんですが、この二つについて問題が指摘されておりまして、医薬品はもとより、お酒であれ、たばこであれ、人が口の中に入れてその成分が体内に入るもの、それによって健康被害が起こる可能性のあるものについて自己責任を求めるということであれば、その危険性を正確に情報提供することが大前提であると思います。
 その観点から、この医薬品であるニコチンガムについてお聞きする前に、こちらのガムたばこについて。
 未成年の薬物乱用の始まりには、喫煙開始が契機となり、たばこがいわゆる門戸開放薬物、いわゆるゲートウエードラッグとも言われております。若干の質問をさせていただきたいと思いますが、まず、政府あるいは厚生労働省として取り組むたばこ対策については、たばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約の締約国として、この条約を踏まえ、たばこ対策の充実強化を図らなければならない、そうした現状にあると思いますが、このたばこ対策について、厚生労働省としての取組姿勢について、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君) 厚生労働省のスタンス申し上げます。
 たばこが健康に悪影響を与えることは明らかになっており、がん、循環器病等の生活習慣病を予防する上でたばこ対策は重要な柱であると考えております。
 厚生労働省として、健康日本21や健康増進法に基づき、未成年者の喫煙防止、受動喫煙の防止等を総合的に取り組んでおります。一方で、御指摘のありました、たばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約の批准とともに、たばこ対策関係省庁連絡会議を設置し、対策の充実強化に向けた体制整備を行っており、今後とも関係省庁、財務省でございますけれども、密接な連携を図りながらたばこ対策を推進してまいりたいと。基本は財務省の所管でございます。しかし一方で、健康という切り口からいえば厚生労働省に大きく関係することと。したがって、私どもの立場でしっかりとした発言をしていくと。たばこについては抑制的であるべきだという立場で発言をさせていただいているところでございます。
○島田智哉子君 このところ、厚生労働省の動向、大変注目されている数値目標についてでありますけれども、健康日本21の中の喫煙率、たばこ消費量について数値目標を設定する考えはあるかについて、大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君) 基本的に抑制というスタンスを私どもは持っております。健康に与える影響が強い、こうした思いがありますけど、一方で、国民全体の嗜好ということになりますと、まだまだ吸われている人の率は高うございます。そこを国が強制的に抑えるのかということになりますと、様々な議論が出てくるんだろうと。そういう意味では、あるべき方向性は私どもはっきり発言をしてまいりたいと思いますけれども、もちろん所管は財務省でございますし、いろんな嗜好の問題も含めながら国民的議論の中でやっていかなければならないなと。
 そういう意味では、今ここで私どもが数字をぼんと出すということについてはもう少し考えさせていただきたいと、こう思っております。
○島田智哉子君 行く行くその数値目標を出していただきたいなと思っております。いろいろ抵抗あると思いますけれども、是非国民の健康を守る厚生労働大臣として頑張っていただきたいと思います。
 それでは、ガムたばこについてなんですけれども、たばこ事業法で認可されているたばこ製品でありまして、二百八十円でたばこ販売店で売られております。国会の近くのたばこ販売店でも売られておりまして、ほとんど見掛けがガムという感じがします。若い人でも手に入れることができる二百八十円という値段の設定はたばこだからなのかもしれませんけど。そこで、今日タクシーにちょっと乗ったんですけれども、そこの運転手さんがクチャクチャとガムをかんでらっしゃいまして、車の中でもなかなかたばこを吸うことができなくなってきてるんで、もしかしてこのガムたばこだったのかななどと思ったりもしたんですけれども。
 まず、このような無煙たばこ、煙の出ないたばこ、見掛けはガムですけれども。これまで厚生省の対応についてお聞きいたしますけれども、昭和六十年の十月のことですけれども、当時ある大手商社が無煙たばこの輸入販売を計画したことに対して、市民団体などによる反対と併せて、当時の厚生労働省は、無煙たばこの健康影響評価研究班を発足させて健康影響を明らかにして、輸入販売制限を求める見解を示しています。この当時の背景についてお聞かせください。
○政府参考人(中島正治君) ただいま御指摘の無煙たばこの件でございますけれども、昭和六十年当時、いわゆるかぎたばこ、これは、かぐんですけれども、口の中に含んでそこから出るものをかぐというようなものがございます。これにつきまして、口腔がんを始めといたします各種がんの発生率の増大、あるいは口腔内の、口の中の白斑症の発生危険率の増大、また血圧の上昇など、循環器系への悪影響等をもたらすというような研究報告があったわけでございます。これを踏まえまして、昭和六十年に、ただいまお話の無煙たばこの健康影響評価研究班を発足させまして検討を行いましたところ、同年十二月、文献評価の報告におきまして、口腔がんの発生頻度を高める可能性やニコチン依存性等の健康影響があるということが報告をされたところでございます。
 なお、この報告書におきまして輸入販売制限を求めるというような記載は特にないのでございますけれども、研究班の意見といたしまして、発がん要因であるかぎたばこの使用を認めることは健康を重視する立場から考えるならば受け入れ難いところであるというような記載もされているところでございます。
○島田智哉子君 もう二十年前の報告書ですけれども、研究班の意見として、シガレットに対する規制の強化を含めて政府が全体として喫煙問題に毅然とした態度で臨むべき時期に到達していると考えると結ばれています。この政府が全体としてという点は非常に重みがあると思います。
 そこで、このガムたばこについて、厚生労働省は、このガムたばこが試験的に発売された平成十六年一月に健康に関する情報を出されました。この中で、ガムたばこは形態としてかみたばこの一種ですけれども、かみたばこについて、紙巻きたばこによる喫煙と同様に、様々な健康への悪影響や依存性が指摘されていますと、このようにございますが、この様々な健康への悪影響とは具体的にはどのようなことを言っているのか、そしてそれは何を根拠に基づいているのか、またその製品の成分を把握、評価されたのか、それぞれ御説明ください。
○政府参考人(中島正治君) 厚生労働省のホームページにおきまして情報提供をしておりますところのガムたばこと健康に関する情報につきましては、平成五年に公衆衛生審議会健康増進栄養部会の喫煙と健康問題に関する専門委員会の中間報告として報告をされておりますところの、喫煙と健康問題に関する報告書第二版というものに基づいて情報提供をしているところでございます。
 この健康影響の中身につきましては、先ほどもお話し申し上げましたような内容でございまして、口腔がんの関係、それから白斑症の関係、血圧上昇、循環器系への影響等々が考えられるというようなことでございますけれども、そういった内容の健康影響について報告をしているわけでございます。
 なお、ガムたばこにつきましては、いわゆるかむたばこの一種でございまして、食品、医薬品ではなく、たばこ事業法の規制の対象となるたばこに該当するものであるというような認識でございまして、そのような扱いをしているということでございます。
○島田智哉子君 一口にたばこと言いましても、人が口に入れて、かんで、その成分が体内に入るものですから、一般的な煙を吸うたばこと同じ扱いにしてよいのか大きな疑問を感じております。その意味で、国が販売を許可しているにもかかわらず、国はその成分についても把握するシステムになっていない、まして国民がそれを口に入れるのに何ら情報が与えられないというのは、それこそが大変な大きな問題であると思います。
 ガムたばこについて、学術会議の報告書で次のような指摘がされています。「スウェーデン製のガムたばこに含有されているニコチンは、毒物及び劇物取締法別表第一の十九に記載されている毒物で、致死性と依存性がある。本製品一粒はたばこ一本分に相当すると記載されているが、たばこ一本に含まれるニコチンは小児の致死量に相当し、二本分で大人の致死量に相当する。この記載が事実であれば、誤飲した場合は致死の結果を招くおそれもある。」。
 ガムたばこについては、平成十五年九月にたばこ事業法に基づく認可が行われていますが、この許可の経緯、また、認可を行う際には成分チェック、人体への健康影響について考慮されているのでしょうか。
○政府参考人(浜田恵造君) お答え申し上げます。
 たばこ事業法におきましては、新たな製造たばこを販売しようといたしますJT、日本たばこ株式会社又は特定販売業者、自ら輸入した製造たばこの販売を業として行う者でございますけれども、これらの者は、この事業法第三十三条の規定に基づきまして、その品目ごとに小売定価を定めて、これについて財務大臣の認可を受けなければならないとされておるところでございますけれども、この三十三条に基づき行われます認可は小売定価に係るものでございまして、価格以外の事項につきましては審査を行うものとはなっていないところでございます。
○島田智哉子君 財務省として人体への影響は考慮されないということですね。価格だけということですけれども。
 これはガムたばこ、こちらは一般的なチューイングガム。見た目は同じで、もちろん口に入れて、かんで、その成分は体内に入る。このガムたばこと普通のガムは、食品衛生法第四条、「この法律で食品とは、すべての飲食物をいう。ただし、薬事法に規定する医薬品及び医薬部外品は、これを含まない。」と、法律にはこのように書いてあります。このいずれも医薬品及び医薬部外品ではありません。それぞれ規定の対象となるのでしょうか。
○政府参考人(松本義幸君) 食品衛生法の第四条で食品というものを定めてありまして、「すべての飲食物をいう。」と、ただし、議員御指摘のように、「薬事法に規定する医薬品及び医薬部外品は、これを含まない。」と規定をしておりまして、今委員御指摘のガムたばこがここで言う飲食物に該当するか否かというのは、用途、外形、摂取形態、社会通念等に照らしまして総合的に判断されるものでございます。
 ガムたばこにつきましては、葉たばこを原料として、かんで用いるという、そういう状態にして製造されたものでございまして、たばこ事業法第二条第三号に規定いたします製造たばこということでありまして、今財務省の方から御説明がありましたように、たばこ事業法に基づきましてたばことしての料金認可がなされているほか、たばことしての販売規制等を受けているということから、他のたばこ製品と同様に、食品衛生法第四条で言う食品には該当しないものということでございます。
○島田智哉子君 法律に書いていますのは、食品とはすべての飲食物をいう、ただし医薬品及び医薬部外品は、これを含まない。しかし、このガムは食品衛生法の対象で、こちらのガム、これはたばこと言われていますけれども、その対象にならないというのは私はどうも腑に落ちないんですね。同じような形で、全くもう見た目はほとんど同じで、そしてかんでその成分を摂取するのであり、社会通念に照らして食品衛生法の対象にならないというのはどうも、私はなかなかこれが理解できない、見た目が同じだからなのか。こちらのたばこガムの方は成分もはっきりしておりませんけれども、ガムの形状を取ってたばこというふうになっておりますけれども、この一般のガム、こちらのガムは食品衛生法の対象になる。この場合、このガムはどのような規制が掛かるんでしょうか。
○政府参考人(松本義幸君) 一般のガムにつきましては、口に入れてそしゃくの上、唾液を食道に送り込むことを用途、摂取形態と、そういうものでございまして、社会通念上、飲食物として認識されておりまして、食品衛生法上第四条で言う食品に該当いたしまして食品衛生法の規制の対象となると。どういう規制になるかといいますと、有毒、有害な物質が混入したり、あるいは未指定の添加物を使用したもの等につきましては、製造、輸入、販売等が禁止されるということになります。
 一方、ガムたばこにつきましてはこの外見、見てくれですね、外形や口に入れてそしゃくするという点では確かに一般のガムと似ておりますけれども、製造たばこといたしまして口腔粘膜からニコチンを摂取をするということを目的とし、かつ摂取形態とするものでありまして、そういう溶け出した成分を胃袋の中に送り込むという、そういう目的、普通のガムとは違うということで食品に該当しないということで、たばこ事業の方でたばことして取り扱われるというものでございます。
○島田智哉子君 何か苦しい御答弁ですけれども、こちらのガムたばこ、これは食品衛生法上の対象とならない。となれば、現行のシステムでは、例えばある企業が新しくガムたばこの輸入販売を行うための許可申請をするとした場合、仮に食品衛生法上の規制対象となっている成分が含まれている場合においても規制するシステム、チェックするシステムが存在しないどころか、食品衛生法上の規制対象物が入っていたとしても違法行為ではない、その理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(松本義幸君) 食品衛生法上のいろんな規制ありますけれども、その規制が掛かるかどうかということにつきましては、対象物がその規制の対象となる食品等であるということが大前提でございます。たばこガムの場合には、法で言う食品に該当しないということでありますので、その成分についての食品衛生法上に適合するか否かということは判断することはできないと考えております。(発言する者あり)
○島田智哉子君 薬でもなくて食品でもなくて一体何なんだという声も出ています。これはどうしても、何かどうしてもたばこなんですね。人が口に入れるもので、その成分が体内に入るもので、何が入っていようとも何の問題意識も持たれないんでしょうか。
 厚生労働省は個人の判断、個人の責任とおっしゃっておりますけれども、その判断、自己責任ということであればせめて、この中に何が入っているのか、この正確な情報の提供もないままで自己責任を問えるんでしょうか。正に今回の改正は、薬について自己責任を求める一方で、しかしそのための情報提供はしっかりさせようということですよね。これだってそうでしょう。口に入れて成分が溶けて体内に入っていくわけですから、自己責任を求めるには情報提供をしっかりやりませんと、国が認可をしているわけですから。もう一度よくお考えいただきたい。
 そこで、厚生労働省にお聞きいたしますけれども、ガムたばこについて、平成十四年五月から十五年六月辺りにかけて東京都を通じて照会を受けていると聞きましたけれども、この際には、その口の中に含まれる成分についても示され、何度かやり取りがあったようですけれども、私どもが東京都に確認したところ、そのやり取りの中で、口に入れるものなので食品衛生上の食品添加物については注意をされたしといった趣旨のやり取りが厚生労働省の方からあったとお聞きしましたが、東京都に確認していただけましたか。
○政府参考人(福井和夫君) 委員御指摘の点でございますが、平成十四年の五月、それから平成十五年の六月でございますけれども、当該企業から東京都の薬事法担当部署を通じまして、ガムたばこにつきまして、これが薬事法上の医薬品に該当するか、そういう照会がございました。嗜好品としてのたばこは医薬品ではなく、薬事法の規制を受けないという具合に回答しているところでございます。
 当時、御指摘のような食品衛生法についても注意するべきとの趣旨を伝えたやり取りがあったかどうかにつきましては、私ども調べさせていただきました。いただきましたが、確認はできておりません。
 もうちょっと申し上げますと、御指摘のやり取りがなかったと積極的に否定できる記録もないんですが、一方で、このやり取りがあったと確認できる記録もこれもまた確認できないという状況でございまして、ただ、一般論といたしまして、口に入れるものにつきましては、あるものが医薬品かどうかの照会を受けた際には、人が口に入れるものであるというものであれば食品関係法規につきましても食品担当部局に確認するよう助言をすることはあるわけでございまして、ガムたばこにつきましてもそういった助言をした可能性はございます。
○島田智哉子君 本当に先ほどから苦しい答弁が続いているようなんですけれども、現場の個々の行政官にとってみれば、国民の健康、安全を考えたときに、例えば添加物に発がん性物質のようなものが入っていれば、これはまずいという認識の下で、一般論と前置きしながらも暗に注意を喚起しているわけでして、行政官として極めて適切な対応が取られたものだと思います。私はそう思います。
 ところが、その対応を、食品衛生法上の食品ではないと大前提があるがゆえに、何か行政官が悪いことをしているかのように弁明されていることに大変な違和感を感じるわけですけれども、おかしくありませんか。
 さらに、このようにたまたま問い合わせがあって、良心と使命感を持った行政官に当たればそうした注意喚起なり情報の提供の機会があるかもしれませんけれども、システム化されていない現状において、一般論として、仮に食品衛生法上規制している成分が入っていたとしてもチェックもできないし、極端に言えば、中に何が入っていても制度上は何ら問題がないということになるわけでして、その結果として健康被害が発生した場合に、それを自己責任として問えるんですか。
 大臣は、この現状をどのように御認識なさいますでしょうか。少なくとも、成分チェックシステムをつくり、その成分を開示して使用者に情報提供する、最低限そういった対応が必要であると強く申し上げたいと思いますけれども、国民の健康を守る厚生労働大臣として財務省と御協議いただけないでしょうか。いかがでしょうか。
○国務大臣(川崎二郎君) いろいろ議論ありますけれども、一つは、ガムは食品衛生法上の問題、それからニコレット、先ほど御指摘いただいた問題は薬として私どもが所管をする、それからたばこ、それからこのかみたばこ、まあ俗にガムたばこと言うんでしょうか、これについては財務省が認可をしているわけですから、財務省がきちっとしていかなきゃならないと。しかし、健康の側面という面で財務省さんに対して私どもが物を言うことは当然あります。先ほど申し上げたように、抑制的であるべきだと。しかし、我々が所管するかと言われれば、当然財務省が所管するものであります。また、販売も直接、対面でなければ売れないという規制も掛かっておりますから、それは財務省がきちっとやるべきものと。ですから、私の方から財務省にきちっと申すべきことは申し上げましょう。
○島田智哉子君 認可を取り消すべきだとか販売規制をするべきだとか、そういうことを言っているわけでは全くないんです。人が口に入れるものですから、最低限それが何なのか、それだけでも、その含有物の開示、そのチェックシステムをつくってくださいと申し上げているんです。協議することをお約束してください。
○国務大臣(川崎二郎君) スウェーデンから入っているものだと思います。したがって、スウェーデンのメーカーできちっとした成分を多分財務省さんにお示しになった上で、価格とともに認可されたんだろうと。しかし、そこをきちっと分かるように国民向けに開示しなさいよという御質問だろうと思います。そこは、財務省と協議はしてみたいと思いますけれども、基本的には財務省が認可しているものですから、私どもが認可しているものではないということだけは御理解を賜りたい。
○島田智哉子君 このスウェーデンから入ってきているガムたばこなんですけれども、何てたばこなんだと思っていたんですけれども、でもこの会社はこの会社なりに、日本で販売するに当たって、これはやはりガムなので、形状がガムなので、人体に及ぼす影響が日本国内で認可されるものなのか、自ら成分を開示しているわけですけれども、すべてではないですけれども、ある一部開示はして相談をしているわけです。
 この会社の、何というでしょう、良識というんでしょうか、そういった気持ちのない会社であればそれは全く伏せることもできますし、何が入っていようと日本では売れるんだ、売れるんだというふうにどんどん攻めてこられるというか、こういった種類のたばこがこれからもっと増えていくんではないかなと私は懸念しているわけです。
 そして、煙が出ないですから、未成年が幾ら、何でしょう、中学生、高校生でも、かんでいたらたばこを吸っているとは思いません。親の立場としてもそれは非常に心配なことなんです。その健康被害がどれだけあるのか、何が入っているのかも分からずに、若い人たちがくちゃくちゃくちゃくちゃかんでいる、でも大人はそれをたばこかガムか見分けることもできない。こういった危険性を多く含んでいるものであると私は思います。
 そして、まあ歯科医師であるから言うのではありませんけれども、口腔粘膜から吸収されるニコチンの量というのは、普通のたばこを吸うよりももっともっと唾液の成分と化学反応を起こしてがんになる、発がん性物質になる物質をつくってしまう、生成してしまうということも学会から指摘がされておりますけれども、様々な健康被害ですとか、子供たちですとか、そのたばこの怖さですとか、ガムの感覚で食べてしまう恐ろしさがあるんではないかなと思います。
 ですから、これから禁煙が、禁煙運動ですとかいろんなものが進んでいくと思うんですけれども、煙が出なければ、じゃこっちに切り替えようかとか、そういうふうに安易な行動に移っていってしまうと思います。たばこを吸っているのかガムを食べているのか、ガムをかんでいるのか、それさえ分からない状態になっていくと思います。本当に、人の体の中に入っていくもの、これはたまたまガムですけれども、薬ですとか、やっぱりその成分については開示していかなければいけない、この方向で、本当に国民の健康を守る厚生労働大臣のお考え、御見解、もう一度財務省と協議していただきたいと思います。どうぞお約束してください。
○国務大臣(川崎二郎君) 基本は申し上げたとおりでありますけれども、一方で、私もこの論議に入る前にどのぐらい実際売れているんだという問い合わせをしましたら、実は数字が返ってこないものですから、やっぱりきちっと御掌握はくださいと財務省に申し上げます。その上でいろんな議論をしてまいりたいと、こう思います。
○島田智哉子君 本当に国民の健康、そして安心、安全を考えて、早急に御検討をいただきたいと思います。
 それで次に、医薬品のこちらのニコチンガムですけれども、先ほど申し上げたように、平成六年に医療用医薬品として承認され、平成十二年八月にスイッチOTCとして承認され、これにより五万人であった使用者が急速に八十万人増えて市場が拡大されたと言われております。
 しかし、その一方で、ニコチンガムによって禁煙がどれだけ促進されているか、逆に新たな嗜癖を誘発している例はないか。また、これらの成分が口腔粘膜を刺激して口腔がんの原因となっていないか。
 この点について報告書では、日本でのガムたばこによる口腔病変が散見しているとしており、我が国ではニコチンガムが販売されて十一年余りにして依存症例あるいは口腔粘膜病変の出現が報告されている。その一例では、ニコチンガム一日六個の処方で三か月後、両側の頬粘膜の違和感、疼痛が出現し、前がん病変が認められた。その肉眼並びに病理組織所見ではスリランカにおけるかみたばこによる独特な前がん病変と酷似している。いずれも頬粘膜に広範なびらん白斑があり、この治療は近代技術を駆使しても極めて困難である、このように指摘されています。
 この報告について、厚生労働省としてはどのように受け止められますか。
○政府参考人(福井和夫君) 今委員の御指摘でございますが、この医薬品であるニコチンガムでございますが、この一般用医薬品としての治験それから市販後調査の結果におきましては、口内炎、舌のしびれ、咽頭違和感等の副作用が認められているものの、口腔のがんやその他の重大な障害は報告されておりません。また、このニコチンガムにつきましては、副作用報告においても、口腔の重大な障害は報告されておらないところでございます。
 厚生労働省といたしましては、このニコチンガムの安全性につきまして、現時点では新たな対応を講じるような状況にはないという具合に考えておりますが、今後とも、委員の御指摘を踏まえまして、国内外の副作用それから研究報告等に関しまして情報収集に努め、必要に応じ適切な対策を取ってまいりたいと存じております。
○島田智哉子君 日本学術会議の報告でこれだけ様々な健康に対する懸念が指摘されていることは事実でして、そのニコチンガムの成分であるニコチンがBに分類されていることに対して私は非常に強い懸念を持たざるを得ません。
 また、これは昭和六十年に当時の厚生労働省が出した報告書でして、まだ日本では承認されていませんから、アメリカの例として、無数の禁煙プログラムが全国にあって、人々は医師の治療を受け、多くの人々が治療の一部としてニコチンガムが処方されているが、ニコチンは投与法のいかんにかかわらず依存を生じ得るので、禁煙のために常習喫煙者に適用されている量より少ないニコチンガムしか無煙たばこ常用者が要求しないと信ずるに足る根拠は存在しないと書かれています。つまり、嗜癖性につながる危険性が指摘されていますし、またこのニコチンガムについては未成年に対する規制がありません。この意味においても、専門家による正確で適切な情報提供が必要なんだと思います。
 先週も、オーバー・ザ・カウンターについての御議論の中で、アスタリスク薬品についても省令に明記することが御答弁がございましたけれども、先日、検討会の委員でもいらっしゃる増山さんからお聞きしたお話の中で、例えば一定以上の平米数がある店舗については義務付けをしてはどうかという御提案もいただきました。是非、そうした御提案も踏まえて、この点についてもよりきめ細かく、そして実効性のある内容としていただきたいと思います。大臣の御見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君) 御指摘いただきました問題については、厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会の報告書においても、アスタリスクの付された成分を含むB医薬品については、相互作用又は患者背景において特に注意すべき禁忌があり、その要件に該当する者が服用した場合に健康被害に至るリスクが高まるものや依存性や習慣性がある成分等を含むものであることから、オーバー・ザ・カウンター又は積極的な情報提供を行う機会をより確保することが可能になるような陳列、販売方法とすべきとされております。
 御指摘いただきましたように、私どももそういった意味で、しっかりとした情報開示がされ、またオーバー・ザ・カウンターに近いような形でのものができるように努力をしてまいりたいと考えております。
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日です。
 引き続き、この今回の法改正に当たって、どちらかというと、今まで少し議論十分し切れてなかった部分に焦点を絞って質問をしていきたいと思います。
 質問を進めていくに当たっての参考資料を今お手元に配付をしております。
   〔資料配付〕
○朝日俊弘君 私の方で、ドラッグストアにどんなものが並んでいるのかなということを頭に思い浮かべて、それがどういう分類になるのかな、できればこういうふうに分かりやすく分類してほしいなと、陳列もそうしてほしいなと思いながら図を作ってみました。
 また後で、これ未定稿でありまして、もしかするとこうした方がいいとか間違っているところもあるかもしれませんから御指摘をいただきたいと思いますが、結構この概念というか対象とする薬物の範囲というか、これが結構難しいというか、整理をしておかなければいけない課題が幾つかあるというふうに思います。
 そこで、質問に入りますが、第一問は飛ばしまして、この図を見ていただいて、真ん中の辺りに医薬部外品というのがあります。今回の法改正では、この医薬部外品の定義が変更されます。新旧対照表を読み比べてみてもどこがどう変わるのかよく分からないんですね。だから、今回の法改正で医薬部外品について定義が変更されたことについて、その理由なりを御説明いただくと同時に、実際どう変わるのか、それとも変わらないのか、ちょっと説明をください。
○政府参考人(福井和夫君) 朝日委員にお答えを申し上げます。
 医薬部外品の定義についてのお尋ねでございます。
 現行の医薬部外品でございますけれども、委員の御提出されましたこの概念図によります正に真ん中の部分でございますが、ここには「滋養強壮、虚弱体質の改善および栄養補給等が目的とされるもの」ということで、言わば体内に摂取をするものをここにお示しをされておるという具合に思いますが、現行の医薬部外品の中には、例えば口中清涼剤とか制汗剤、これは汗を制する制汗剤でございます、人体に対するその緩和な効果を目的とするもの、それから殺虫剤とか殺鼠剤、虫よけのように衛生害虫に対する作用を目的とするもの、それから、今申し上げましたが、ドリンク剤あるいは傷薬のように、近年、医薬品から医薬部外品に移行した製品群といったようなことで、実は様々な製品群が脈絡なくこの条文の柱書きあるいはこの各号で定義をされておりまして、医薬部外品の概念が分かりにくいという指摘がなされております。
 こうしたことから、平成十七年三月の閣議決定でございますが、近年の一部医薬品の医薬部外品への移行により、医薬品と医薬部外品との境界が不明確になっている等の問題もあり、医薬部外品の定義について医薬品との対比において再検討をし、その議論を踏まえて必要な措置を講ずることという具合にされまして、これを踏まえて今回の改正法におきまして医薬部外品の定義を行うものでございます。
 結論的に申し上げますと、今回の改正におきましては、あくまで現行の医薬部外品につきましてその類型ごとに整理をいたしまして、医薬部外品の定義の明確化を図る趣旨でございます。今回の改正によりまして、医薬部外品の範囲あるいは種類に変更が生じるものではございません。
 具体的に申し上げます。
 現行の医薬部外品の定義がなされております薬事法第二条第二項、この条項は変わりません。ここにおきまして、医薬部外品をその使用目的に応じて類型化をいたしまして、人体に対する作用が緩和なもの、これが大前提でございます。
 人体に対する作用が緩和なものという柱書きを前提といたしまして、一つは日常的な不快感等に対する緩和な効果を目的とするもの、これは第一号、先ほど申し上げました口中清涼剤とか制汗剤等でございます。
 それから二番目は、衛生害虫の防除を目的とするもの、これを第二号といたしまして、殺虫剤、殺鼠剤及び忌避剤でございます。
 三番目が、軽度ではあるが何らかの症状の緩和等の効果を目的とするもの、これを三号といたしまして、ドリンク剤、傷薬等でございますけれども、このように整理をさせていただきたいという具合に考えているところでございます。
○朝日俊弘君 分かりました。
 そうすると、私が作った図をもう少し内容的には三分類ぐらいすると丁寧になると、こういうことだと理解いたしました。
 そこで、今お話の中にもありましたが、最近になって二度ほどになりますか、医薬品というところから医薬部外品というところにカテゴリーが移行した部分があったと思います。全体、規制緩和の流れの中での措置だというふうに思いますが、ちょっと復習をしておきたいと思いますので、この近年行われた医薬品から医薬部外品への移行について、いつどんなものがどんなふうに変わってきたのかということと、近々また再度そういうカテゴリーを変えようという考えがあるのかどうか、併せてお答えください。
○政府参考人(福井和夫君) まず、後の方のお尋ねからお答えをさせていただきたいと思います。
 委員御指摘のこの医薬品から医薬部外品への移行、後、具体的に御説明を申し上げますが、平成十一年と十六年におきまして行われたものでございますけれども、現時点におきまして更に医薬品から医薬部外品へ移行し得る製品群はないという具合に認識をいたしております。
 申し上げましたように、まず十一年の措置でございますが、平成九年三月に閣議決定されました規制緩和推進計画におきまして、医薬品のうち人体に対する作用が比較的緩和で販売業者による情報提供の努力義務を課すまでもないものについて、一般小売店においても販売できるよう医薬品のカテゴリーを見直すとされたことを受けまして、私ども厚生労働省におきましては、中央薬事審議会に、当時でございますが、医薬品販売規制特別部会を設け、医学、薬学等の専門家による検討を行った結果、平成十年三月に取りまとめられた同部会の報告書に基づきまして、のど清涼剤、健胃清涼剤、外皮消毒剤、傷消毒保護剤等の十五の製品群、約二百品目につきまして平成十一年の三月から医薬部外品へ移行したものでございます。
 それから、十六年の措置でございます。これは平成十五年の六月に閣議決定をされました経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三、いわゆる骨太方針でございますが、これにおきまして、医薬品の一般小売店における販売については、利用者の利便と安全の確保について平成十五年中に十分な検討を行い、安全上特に問題がないと結論に至った医薬品すべてについて、薬局、薬店に限らず販売できるようにするとされたことを受けまして、医学、薬学等の専門家から成ります医薬品のうち安全上特に問題がないものの選定に関する検討会において検討を行った結果、平成十五年十二月に取りまとめられました報告書に基づきまして、健胃剤、整腸剤、消化薬、ビタミンを含有する保健薬等の十五製品、約三百品目につきまして平成十六年七月三十日から医薬部外品に移行したものでございます。
 お尋ねの点については以上でございます。
○朝日俊弘君 相当まあ多くの部分、医薬品から医薬部外品へと移行していったということであります。
 ただ、私はその流れそのものを否定するつもりはありませんけれども、どうしても医薬部外品へ移した中にも副作用を懸念するようなものが幾つか入っているように思えてなりません。状況によってはまたこれを変更することもあるんだと思いますが、是非、私としてはできるだけ慎重な配慮が必要だということを申し上げておきたいと思います。
 さて、その上で、もう一遍今度は図を見ていただいて、その一番上の欄の医薬品のところの中身について少し整理をしていきたいと思いますが、現行法を見ますと、何を一般用医薬品とするのかの概念規定がないんですね。
 で、さて今回はどう変わるのかなと思って見てみたら、定義のところではなくて、第二十五条の店舗販売業の許可に関する条文があって、その中に括弧書きで一般用医薬品とはかくかくしかじかと書いてある。この部分が一般医薬品の概念規定というか定義になるんでしょうか。で、現行のやつからより明確に書いたというふうに理解していいのかどうか、ちょっと確認させてください。
○政府参考人(福井和夫君) お答え申し上げます。
 医薬品の定義につきましては現行薬事法第二条におきまして規定がなされているところでございます。委員御提出の概念図によれば、この正に一番上の部分、左側に「医療用医薬品」、右側に「一般用医薬品 いわゆる大衆薬」という具合にお示しをされている部分でございますが、一般用医薬品の概念や範囲に関しましては、現行薬事法上特段の規定はなされていないところでございます。これにつきましては、現行薬事法は昭和三十五年の法律でございます。医薬品につきましては、当時、医療用、一般用の区別がございませんでした。その後、昭和四十二年に至りまして、運用上と申しますか通達上、この医療用、一般用の区分が行われたものでございまして、しかしながら、その法律上の根拠は規定されておらなかったものでございます。
 正に委員御指摘のとおりでございますが、今回、薬事法改正法案第二十五条におきまして、「医薬品のうち、その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであつて、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているものをいう。」という具合に規定をいたしまして、一般用医薬品につきまして新たに法律上の定義を設けることといたしたものでございます。
○朝日俊弘君 定義をされたことは是とするんですが、何か場所がどうも変だなという気がしてなりませんが、これは指摘しておきます。
 そこで、一般用医薬品が今範囲も含めて法律の条文上明記されたということなんですが、片方、医療用医薬品については、ずっと調べてみたんですけれども、全然どこにも条文上は書いてないんですね。そうすると、この医療用医薬品と一般用医薬品というふうに、私、図では割とすきっと分けて書いてあるんですけど、こういう位置付けというか定義付けがそれぞれなされているものだと思ったんでこういう図を書いたんですが、医療用医薬品についての定義というのは特段定めてないんですか、法律の中では。
○政府参考人(福井和夫君) いわゆる医療用医薬品の定義に関しますお尋ねでございます。
 先ほど申し上げましたように、今回の改正法案におきまして、この医薬品のうち一般用医薬品、これにつきましては第二十五条に規定をさせていただきたいという具合に考えておるところでございますが、医療用医薬品については定義は置いておりません。概念的に申し上げますと、医薬品の中からこの一般用医薬品、これを除いた部分が医療用医薬品ということになろうかと思っております。
 なお、この医療用医薬品につきましては、通知によりましてその定義を示しているところでございます。委員お示しの概念図にも言葉として出てきておるわけでございますけれども、通達で定義をいたしておりますその中身を申し上げますと、医師若しくは歯科医師によって使用され、又はこれらの者の処方せん若しくは指示によって使用されることを目的として供給される医薬品という具合にされているところでございます。
○朝日俊弘君 説明としては了としますが、せっかくならちゃんと定義を明確にして書いた方が分かりやすいんじゃないかなと思います。これは今後の課題として宿題にしておきたいと思います。
 一問飛ばします。
 先日、参考人の方々に来ていただいて、審議会における報告書の取りまとめの概要を御説明をいただきました。井村参考人は、その図のところにも書いてありますように、一般用医薬品といってもリスクが大変高いものから比較的高いもの、比較的低いもの、三段階ぐらいに分けて考えたらどうかと、それぞれに専門家による情報提供とか相談応需の体制をつくっていこうじゃないかと、こういう報告書をまとめましたという御説明がありまして、なるほどそれはそうだなと思ってお聞きしたんですが、ところが、法律を見ますと、これが何かへんてこな書き方になっているんですよ。
 ちょっと時間取って説明したいと思いますが、法律の書きぶりをそのまま読みますと、第一類医薬品は、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうちその使用に関し特に注意が必要なものと、こう書いてある。これはリスクが高い分類だということで、これは理解できる。ところが、第二類医薬品になると、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品で、第一類医薬品を除くと、こう書いてある。で、三類にいくともう何も書いてなくて、第一類及び第二類以外の医薬品と、こう書いてある。
 こういう書きぶりでは、報告書でまとめていただいた基本的に一般用医薬品というのはリスクがあるんだと、で、高いものと中くらいのものと低いものとあるんだと、それぞれに配慮が必要だし実施体制が必要なんだと、こういう書きぶりになっているのが、法律でいくと一類、二類以外のものなんて書かれちゃうと一体何だということになりはしないかと思うんですが、これはまあ法律にするとこういう書き方になるのかなと半分思いながら、もっと正確な書きぶりがなかったのかと思えてならないんですが、どうですか。
○政府参考人(福井和夫君) 法制上の整理ということであるわけでございますけれども、この検討部会の報告書におきましては、ただいま委員お話しのように、このリスク分類につきまして、一般用医薬品に配合されるこの主たる成分のリスクの程度に応じまして、アルファベットを使っておりますが、A、B、Cの三つのグループに分類がなされております。
 そこで、この一般用医薬品としての市販経験が少なく一般用医薬品としての安全性評価が確立していない成分を含む医薬品、これと一般用医薬品としてリスクが特に高いと考えられる成分を含む医薬品、これをAグループの医薬品としたわけでございます。
 次に、それ以外のもののうち、まれに日常生活に支障を来す健康被害が生じるおそれがある成分、言い換えれば入院相当以上の健康被害が生じる可能性がある成分を含む医薬品を、これをそのBグループ医薬品という具合になされております。
 残されたものにつきましては、日常生活に支障を来す程度ではないが、身体の変調、不調が起こるおそれがある成分を含む医薬品をCグループ医薬品と、このように整理がなされております。
 今回の薬事法の一部を改正する法律案におきましては、この検討部会の報告書を踏まえた上で、まずこのAグループ医薬品のうち、一般用医薬品としての市販経験が少なく一般用医薬品としての安全性評価が確立していない成分を含むものにつきましては、当該成分の使用時における健康被害の程度を判断するに必要な十分な情報量がないと、こういうことから、安全性評価が確立されるまでの間、販売時の情報提供等の徹底を求める第一類医薬品としたわけでございます。
 で、条文上は、一般用医薬品としての新しい効能効果、用量等の承認を受けるものであるものでございますので、第十四条第八項第一号に該当するとされた医薬品であって、承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないものという具合に規定をいたしたところでございます。
 次に、このAグループ医薬品のもう一つでございますが、承認され市販されてから一定期間が経過したものであって、かつ特にリスクが高いとされた成分を含むもの、これとBグループ医薬品については、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品として、条文上の規定では同じ文言として整理をいたしております。
 その上で、リスクが特に高いAグループに相当するものを条文上、使用に関し特に注意が必要なものとして第一類医薬品に含め、残りのBグループに相当するものは、条文上の定義の重複を避けるため、第一類医薬品を除くとした上で第二類医薬品として規定をしたものでございます。
 それから、最後にこのリスクの程度について、検討部会におきましては日常生活に支障を来す程度ではないとされたもの、これにつきましても、これは一般用医薬品の一類型でございますが、この身体の変調あるいは不調と、これが起こるおそれにつきましては第一類の医薬品あるいは第二類の医薬品についてもこれは起こり得る、そういう副作用でございます。およそ一般用医薬品について共通して有するリスクであるわけでございますので、法律上の書き方といたしましては、リスクの上乗せ部分でありますこのAグループ、Bグループにつきましてそのリスクを明示することとし、共通になっているこのCグループのリスクについては明示をしなかったものでございます。
 以上のようなことでございまして、私どもといたしましては、改正法案の一般用医薬品の分類にこの検討部会の報告の分類を反映をしたものであるという具合に理解をいたしております。
○朝日俊弘君 多分そういう説明になるんだろうなと思っていたんですけど。私の問題意識は受け止めていただいたと思うんですけど、要するに、表現の仕方からすると、検討会の報告書の方が非常に素直に読めると。法律にすると何かかえって分かりにくくなったような、あるいは第三類のところはもうリスクは全然関係ないと見ているような書きぶりにも読めるということで気になりました。
 是非、最後のところでお述べになったように、検討会の報告をきちっと踏まえた、正確に表現したものだという御答弁ですから、それを受け止めますけれども、具体的な運用に当たっては、十分その条文の解釈も含めて検討会の報告書を踏まえた書きぶりに是非していただきたいということを注文しておきたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 今回、三つの分類をするに当たって、審議会の中に検討部会とさらには専門委員会をつくって検討をしたという御報告がありました。
 そこで、リスク評価のための専門委員会については、今回はどういう形態でどういうメンバー構成でどんな運営方法でやってこられたのか、そして、その委員会の報告は報告として、最終的な決定責任はどこにあるのかということをまず一つ明確に説明していただきたいということと、それから、今後もこのリスク分類について再検討する必要があり得ると思うんですね。例えば、新しい薬を申請が来たとか、いろんな副作用がまた更に報告がたまってきたということになれば再検討しなければいけないと思うんですが、そういう場合には、この専門委員会というのはずっと常設されてそこでやるということになるのか、その辺についての対応もお聞かせください。
○政府参考人(福井和夫君) お答え申し上げます。
 医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会、これが今委員御指摘のこのリスク評価に関する委員会でございますが、厚生科学審議会運営規程、平成十三年一月十九日、厚生科学審議会決定でございますけれども、この八条及び厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会運営細則、平成十六年九月二十七日、医薬品販売制度改正検討部会長決定、第一条に基づきまして、医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関しまして専門的見地から検討を行うため、医薬品販売制度改正検討部会の下に平成十六年十月に設置されたものでございます。
 同委員会、この専門委員会でございますが、厚生科学審議会の委員、臨時委員又は専門委員の中から、医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関しまして学識経験を有する者として、医薬品販売制度改正検討部会の部会長、それから部会長代理のほか、部会長が指名する薬学、医学の専門家合計十名の委員により構成されていたところでございます。
 この専門委員会におきましては、四百八十五の成分につきまして、一つずつその成分の副作用や飲み合わせ、患者背景、これは例えばお子さん、小児であるとかあるいは妊婦さんであるとか、こういったことでございますけれども、それによるリスクを考慮いたしまして、専門的な知識、経験を基にそれぞれの成分につきましてリスクの評価を行ったところでございまして、平成十七年十一月まで延べ十二回にわたって委員会が開催され、これはすべて公開をされております。また、専門委員会の開催に当たりましては、医薬品販売制度改正検討部会、この検討部会の方の委員もオブザーバーとして出席することができることとされまして、このオブザーバーも交えた意見交換が行われたところでございます。
 この専門委員会の担当部署は私ども医薬食品局の審査管理課でございます。専門委員会で検討された結果につきましては、これは医薬品販売制度改正検討部会に報告し、審議され、最終的には同部会がまとめた報告書の中に盛り込まれたものでございます。
 したがいまして、責任の所在というお話がございましたが、この内容自体につきましては、これは検討委員会の委員長あるいはそれが報告されまして了承されました検討部会の部会長ということでございますが、これはあくまでも今回、私ども、薬事法の改正法案を国会に提出をさせていただくというその準備の中の話でございます。したがいまして、今後についてのお尋ねがあったわけでございますけれども、今回のこの改正法案におきましては、リスク分類の指定をしようとするときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴かなければならないという具合に条文を盛り込んでいるところでございます。
 したがいまして、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いた上で適切にリスク分類の指定を行っていきたいという具合に考えております。つまり、今回、この法案を通させていただければ、これはほかのものと違いまして、いろいろな施策、いろいろな対応の基礎になるものでございますので、早めに施行させていただければという具合に考えておりまして、法案を成立させていただければ、来年の四月までに薬事・食品衛生審議会の意見を聴いた上で、正式にこのAとかBとかCとかということ、法律上は、第一類、第二類、第三類ということでございますが、これにつきまして決定をするということでございます。
 この分類につきましては、厚生労働省令、厚生労働大臣が決めるということになっておりますので、審議会におきまして出てきました結論をきちっと法令に基づいて決めるというところのこの責任の所在は厚生労働大臣にあるという具合に理解をいたしております。
 それから、分類の変更についてのお尋ねがございました。
 改正法案におきましては、この一般用医薬品の区分の指定に資するよう、厚生労働大臣は、医薬品に関する情報の収集に努めるとともに、必要に応じてこれらの指定を変更しなければならないという規定を盛り込んでいるところでございます。
 新たな指定と同じでございますけれども、今後、既に指定をされたものにつきまして新たな知見や副作用の発生状況、こういったものに基づきまして、申し上げました審議会の意見を聴いて必要に応じて分類の変更を行う予定といたしております。
○朝日俊弘君 仕組みは分かりました。
 是非、これは私の意見で、先日、参考人の方にも申し上げましたけれども、ややこの三分類が、一が極めて少なくて二、三に数が非常に多いという結果はやや不自然というか、特に第二のところに幾つかもう少し細かい分類があってしかるべきではないかという意見を申し上げました。
 もう既に、これまでの検討もされていることですから、そのこと自体にとやかく言うつもりはありませんけど、今後の実態をきちっと踏まえながら、必要な事態があれば早急にリスク評価を含めて見直す必要があり得るというふうに思っていますので、そういうような事態にはきちっと対応できるような取組をお願いしたいというふうに思います。
 さて、このリスク評価に当たってちょっと気になることがございます。
 先ほどもちょっと触れられましたが、四百、五百近い医薬品の成分を、そのリスクを評価するということで、それだけでも大変だと思うんですが、ただ一般用医薬品は御存じのとおり配合剤が多いんですね。三種類ぐらい薬を混ぜて、胃薬ですとか風邪薬ですとか、そういうふうにしているのが結構あるんです。
 私は、心配しているのは、その一つ一つの成分のリスク評価は当然きちっとされることとして、それを二、三種類配合した場合のリスクというのはどうなのかと、そういうところまできちんとされたんだろうかと。すべての製品を全部チェックしろと言うつもりはありませんけど、例えば風邪薬であれば、幾つか、比較的組合せが行われるのが二、三種類、典型的にはパターンがあるわけで、そういう配合例についてはそれなりにちゃんと評価されたんだろうか。やや心配をしていますが、この辺はどうだったんでしょうか。
○政府参考人(福井和夫君) 委員御指摘のように、一般用医薬品は、幾つかの成分が、複数の成分が配合をされていると、配合剤が多いわけでございます。一方、医療用医薬品につきましては、いわゆる単味剤ということでございます。委員御案内のとおりでございます。
 ただいまのお尋ねでございますけれども、この複数の成分を配合した場合のリスク、そういうことであろうかという具合に今思ったところでございますけれども、専門委員会におきまして、この四百八十五成分すべてにつきまして、そのすべてにつきまして、それぞれの成分の相互作用、これのリスク評価を行っていただきました。例えば、これはアスピリン、これは解熱鎮痛成分でございます。それから、ワーファリン、これの相互作用ということで申しますと、ワーファリンの作用が増強されて出血時間が延長される、あるいは消化管出血等を起こすと、こういうことでございます。
 そういったことで、俗に申し上げれば、この飲み合わせみたいなことでございます。単味で言えば飲み合わせということになるわけでございますけれども、この医療用医薬品に添付文書が付けられております。そこの添付文書に記載された言わば相互作用、その相性の悪い医薬品、これにつきまして各々評価をいたしたところでございまして、委員御指摘のように、複数の成分を一つの製品に配合した場合のリスクも評価をいたしまして、その結果をリスク分類に反映したということで聞いております。
○朝日俊弘君 それなりに問題意識を持ってリスク評価をされたというふうにお聞きしましたが、問題は、結構、通院していて薬をもらっていて、そこへもってきて自分がドラッグストアへ行ってまた買ってということがしばしばあるんですね。だから、一般医薬品だけでの配合の問題じゃなくて、その一般医薬品と今度は医療用医薬品とのもしかすると飲み合わせているかもしれないという、そういうことがあり得るので、ここはどういうふうにしたらいいのか、どこまでを自己責任と言うのか難しい問題だと思いますが、是非、これからのカウンター越しのいろいろ相談を受けるに当たって、もしかしたらこの人はお医者さんからもらっている薬も飲んでいるかもしれないということを念頭にきちっと対応しないといけないなと、そういう方向での御指示というか、要請をしてほしいなということを付け加えておきます。
 さて次に、いろいろリスク評価をしていただいた上で発売されている医薬品、しかしこれまでに数限りない副作用が出現した。この医薬品、一般用医薬品も含めて、副作用が出現した場合には、当然報告の義務があるということだと思います。
 条文上も第七十七条四の二というところに、「副作用等の報告」ということでありまして、これは前からあるわけですが、その条文の中に、ちょっと読んでみますと、薬局開設者からずっとありまして、医師、歯科医師、薬剤師とあるところの次に登録販売者を加えて、そして更に獣医師その他の医薬関係者はと、こう書いてあるんですね。ですから、今回新たに登録販売者も副作用等の報告義務があるよと、こういうことで法律上は整理されていると思うんですが。
 ただ、ずっと読んでみますと、医師も歯科医師も薬剤師も獣医師も、教育年限六年ですね、六年制教育を受けた人たち。学歴さえあればいいと言うつもりはないですけれども、そこにぽっと登録販売者が入り込んでいて、果たして本当に同じレベルで副作用をキャッチして、これ副作用かどうかをキャッチするところが一番難しいと思うんですね、もしかしたらこれは副作用かもしれないという。そういうことを十分に期待できるんだろうかという気がしてなりません。
 初日のときの議論からも、資質をどう確保するのか、担保するのかということについての質問が多々ありましたけれども、改めて私は、ここの特に副作用の報告義務をきちっと果たしていただけるんだろうかと、ここは相当厳重に考えなきゃいけないと思うんで、この点についてのお考えをお聞かせください。
○政府参考人(福井和夫君) 今委員御指摘のとおりでございますが、法案におきましては、七十七条の四の二の第二項におきまして、副作用報告を行うべき者として、医師、薬剤師等に加えまして、この登録販売者を新たに追加をさせていただきたいということで御提案を申し上げておるところでございます。
 この登録販売者につきましては、今回の法改正によりまして、一般用医薬品の購入者への適切な情報提供を確保すると、委員御指摘の副作用に関する報告、こういったことも含めて、一定の資質を試験によって確認することとしているところでございます。
 この登録販売者から報告のあった事例につきましては、これまで、例えば薬剤師からの報告と同様でございますけれども、必要に応じて、私ども厚生労働省がそういった場合に診療を行った医師等に確認することによりまして、この副作用報告の内容を充実させるということもできるという具合に考えております。登録販売者に副作用報告を求める、副作用に関する情報収集のルートが拡大をされるということでございまして、安全対策を講じる上で有意義であるという具合に考えております。
 ただいま委員御指摘のように、医師、薬剤師等とこの登録販売者では、何といいますか、資質が違うんではないかと、率直に申し上げてそういうお尋ねかという具合に思っております。この点につきましては、各々、言わばこの登録販売者でいえば、確認をされましたその資質のレベルにおきましてそれぞれ副作用報告をやはりしていただくということだろうという具合に思っておるところでございます。
 それから、この登録販売者の資質向上ということでございますが、当然登録販売者になるためには都道府県の試験ということに合格をするということが必要であるわけですが、その後の生涯教育といったものも大切だという具合に理解をいたしております。
 この法案におきましては、現在、薬種商販売業を営んでおられる方々は言わば自動的にこの登録販売者に切り替わると、薬種商販売業を営んでおられる方々、基本的にこの都道府県の試験を受けて、許可と一体になっている試験でございますけれども、今業を営んでおられるということでございますので自動的に切り替わるということでございますが、この薬種商販売業の関係の団体におきまして、生涯教育ということで申し上げますと、定期的な研修会等が実施をされておると、継続的な資質の維持向上、研さんを図る取組が実はなされておるところでございます。
 現にこの業界団体が実施しております生涯教育につきましては、これは先方の御要請に応じてということでございますけれども、私ども厚生労働省あるいは各々の都道府県から講師の派遣等も行うというようなことでもって対応させていただいておるところでございまして、今後とも、引き続き同様な、あるいはそれ以上の指導、支援を行ってまいりたいと、このように考えております。

○朝日俊弘君 法律に副作用等の報告を義務付けるだけじゃなくて、それが実効あるようにするための手だてを是非丁寧に講じていく必要があると、そうしないと絵にかいたもちになりかねないということを指摘しておきたいと思います。
 さて、様々な資格を持った方から報告を厚生労働大臣にされると。この副作用報告を受け取って、厚生労働省としてはどう対応しているのかということについてお尋ねをしたい。
 この問題については、ちょっと思い出していただきたいんですが、平成十四年、四年前になりますか、三年半前、当委員会において法案審議の最後の段階で特段の決議をいたしました。独立行政法人医薬品医療機器総合機構の設置に当たって、特に副作用に関する情報をできるだけスピーディーに、しかもできるだけ正確にきちっとキャッチして安全対策を進めていくために極めて重要ということで、幾つかの項目に絞って、たしか附帯決議に加えて、特にこの委員会で独立行政法人の問題だけに限らず薬事行政全般にわたる留意点を決議いたしました。
 そういう点も踏まえて、その後、この総合機構も設置されてきていると思いますし、副作用報告を受け止める厚生労働省側の体制づくり、あるいは現状について御説明をください。
○政府参考人(福井和夫君) 平成十四年十二月の十二日でございますが、当委員会におきまして、これは「独立行政法人医薬品医療機器総合機構の在り方に関する決議」、四項目ございますが、その三番目に、「医薬品等の安全性を確保するため、審査を厳格に行うとともに、安全対策業務の実施に当たっては、医薬品の副作用等による健康被害の拡大を防止するため、迅速かつ的確に対応すること。」、このような決議がなされておること、承知をいたしておるところでございます。この決議等も踏まえまして、医薬品の市販後安全対策、これの一層の充実強化が図られたという具合に認識をいたしております。
 具体的に申し上げます。
 平成十五年の七月からでございますけれども、副作用報告等の状況につきまして、これは情報公開という意味もございますが、薬事・食品衛生審議会に御報告を申し上げているところでございます。
 それから、二番目に、平成十六年四月にこの医薬品医療機器総合機構が発足をいたしたわけでございますが、同機構に安全部を、こういう組織を設けまして、厚生労働省と同機構が連携をいたしまして市販後安全対策を実施することとしたわけでございます。
 それからさらに、平成十七年四月、昨年の四月でございますけれども、製造販売業者に市販後安全対策を適正に実施するための体制整備を義務付ける製造販売後安全管理基準、私ども、GVPという具合に呼んでおりますけれども、これを施行、実施をしたところでございます。
 それから、医薬品医療機器総合機構の取組でございますが、平成十六年四月のこの機構発足後、報告されましたすべての副作用報告を対象にいたしまして、一件ごとにその概要を本年一月から実は公開をいたしております。本年一月には平成十六年四月分、それから三月には十六年五月分をこれはすべて公開をいたしておるところでございまして、今後とも、この公開、今のところ一月にこれ一月分なんですが、拡大をするような形でもって対応をすべく指導していきたいと思っております。
 それから、副作用報告等のこの安全性に関しまする情報につきましては、通常、今申し上げました総合機構において、専門家の意見を聞きながら、医薬品と有害事象との因果関係などにつきまして調査あるいは整理をいたしまして、その結果に基づきまして、厚生労働省におきまして、今度は薬事・食品衛生審議会の委員の意見を聞きながら、添付文書の改訂、あるいはその周知、その他必要な安全対策、私ども、毎月、安全性情報というものを出させていただいておりますけども、そういったことも含めまして安全対策を講じておるところでございます。
 厚生労働省といたしましては、平成十四年の当委員会の決議等を踏まえまして、医薬品医療機器総合機構とも連携しつつ、引き続き、市販後安全対策について迅速かつ的確に対応してまいりたいと、このように考えております。
○朝日俊弘君 今、御説明をいただきましたけども、ちょっと委員長、検討してほしいんですが、あえて今、私が申し上げたように、平成十四年、当委員会において決議をして、医薬品の副作用についてきちっとした体制をつくれと、こういうことで決議をしました。その後、今取組の状況についてるる御報告をいただいたわけですけど、重立った経緯と取組の中身について、是非この委員会に報告ぐらいあってしかるべきではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○委員長(山下英利君) 後刻、理事会で協議をいたします。
○朝日俊弘君 よろしくお願いします。私の不勉強のせいかもしれませんが、今聞いたような説明について必ずしもこの委員会できちっと受け止めてはいないんじゃないかと思いますので、あえてお願いをいたしました。
 そこで、大臣、この前半の課題の締めくくりでお答えをいただきたいと思いますが、要するに今回の改正で一般医薬品の販売について新しいルールをつくろうと、このこと自体は皆さん一定程度受け止めていただいている。ところが、このことによってもしかしてまた再び重篤な副作用を、被害を起こすことがあるんじゃないか、そんなことはあってはならないという思いがずっとあるんだと思うんですね。そこのところの危惧が先日の参考人からも示されたわけだし、私もそういう危惧を若干持ちます。
 ですから、その一定の必要性があって今回法改正をするわけだけれど、そのことが引き金というか、きっかけというか、ある種環境をつくってしまって、次々ととは言わないまでも、重篤な副作用、薬害被害がまた出るというようなことがあってはならないと思う。その点についての今後の大臣の、薬事行政の推進、特に薬の安全の問題についてどうお考えか、決意も含めてお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君) 今回の薬事法の改正法案は、効能効果とリスク、これを併せ持つという医薬品の本質を踏まえることが一番大事だろうと思っております。一方、一般用医薬品の販売に関し、リスクの程度に応じて専門家が関与し、適切な情報提供等がなされる実効性ある制度を構築しようと考えております。いろいろ委員会で御議論いただいておりますように、この専門家の資質の向上という問題が次の大きな課題だと考えております。
 いずれにせよ、今回の改正により購入者による医薬品の適切な選択、適切な使用に資するものであり、そして今御懸念をいただきました副作用の被害、大きな被害を起こしてはならない、二度と起こしてはならないというスタンスの中で努力をしてまいりたい。また、そうした意味で十六年から新たな組織もつくらしていただく中、努力を重ねているところでございます。
 いずれにせよ、今回の制度改正の趣旨を生かされるよう実施するとともに、医療用医薬品をも含め医薬品全体の安全体制の充実強化に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 先ほど御議論聞いていまして、医療用の医薬品の定義をどこかにきちっとすべきじゃないかと。これも今副大臣とも話しておると、やっぱりそれは朝日先生の言われるようにどこかできちっとしなきゃならぬなと、こういう感じで受け止めさせていただいたところでございます。
○朝日俊弘君 是非よろしくお願いします。
 世の中全体が規制改革、規制改革という流れで、それはそれで一定の必要性を認めながらも、特にこの薬の安全の問題は従来も言わば惨々たる結果が歴史としてあるんですね。しかも、それがまだ今日克服し切れていないという状況があって、今後更に同じような事態が起こり得るんではないかという心配が非常に強くある。ですから、ここはもう信頼と安全、安心という関係をどうつくっていくかということだと思いますから、是非、抜かりのないようにというか、油断のないように対応をお願いしたいと思います。
 さて、後半、違法ドラッグ対策を中心に質問をしたいと思いますが、大分時間が経過していますので、用意した質問の半分ぐらいに縮めて進めていきたいと思います。幾つか飛ばしますので、注意深く聞いておいてください。
 まず、この問題をきちっと整理するためにも、言葉の問題で、第一に、違法ドラッグと言ったり(いわゆる脱法ドラッグ)と言ったり、ある人たちは、いや合法ドラッグだと言ったりしているので、今回の改正でこの辺のことはどうきちっとけりが付くのか、少し言葉の問題も含めて改めて説明をしていただいた方がよいと思いますので、お願いします。
○政府参考人(福井和夫君) 違法ドラッグ、脱法ドラッグあるいは通称合法ドラッグのこの用語、これについてのお尋ねでございます。
 違法ドラッグという言葉でございますけれども、昨年二月に設置されました私ども厚生労働省の検討会におきまして、これは乱用防止の観点から、そういう言わば合目的的な用語ということになろうかと思いますが、「麻薬又は向精神薬には指定されておらず、麻薬又は向精神薬と類似の有害性を有することが疑われる物質(人為的に合成されたもの、天然物及びそれに由来するものを含む。)であって、専ら人に乱用させることを目的として製造、販売等がされるもの」と、こういう指摘をいただいておるところでございます。
 この違法ドラッグにつきましては、私どもの受け止め方といたしましては、平成十年ごろから一部の薬物マニアの間で流行し始めたという具合に推定をしておるところでございまして、当初は、実はマスコミ等におきましても合法ドラッグと、こういう呼び方がなされておりました。その後、社会問題視されるに至りまして、取締りも行われていくという過程の中で脱法ドラッグという具合に呼ばれるようになっていったものでございます。このように、私どもといたしましては、これらの用語については同じものを指しているという具合に理解をいたしておるところでございます。
 なお、この検討会におきましてこの呼称につきまして議論が行われまして、従前の脱法ドラッグという呼称は、これが薬事法違反である疑いが強いのにもかかわらず、法の規制が及ばないかのような誤ったイメージを与えかねないということでございまして、違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)と変更すべきであるとの御提言をいただきまして、最近、最近といいますか、私どもとしては違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)と、こういった呼び方をさせていただいておるところでございます。
○朝日俊弘君 それで、経緯は分かったけれども、今回の改正で、いわゆる脱法ドラッグという呼び方はしないよということをはっきり示すということだと私は理解しているんですけれども、それでいいですか、ちょっと念のために確認しておきます。
○政府参考人(福井和夫君) 私どもとしては、違法ドラッグという言葉でもって対応していきたいと思っておりますし、その場合、プレス、マスコミの方々に対しましても、そういったことを念頭に置きましてよく理解を深めていただけるように適切に対応していきたいという具合に考えております。
○朝日俊弘君 それじゃ、幾つか飛ばしまして、今日は内閣府にも来ていただいております。内閣府に政府の薬物乱用対策推進本部が設置をされておりまして、最近では平成十五年ですか、薬物乱用防止新五か年戦略というのを打ち出しておられます。
 今日は、その新五か年戦略の概要、それからそれの実施状況について御説明をいただくと同時に、今回の法改正で指定薬物、いわゆる違法ドラッグという規定が明確化されることによって、この新五か年戦略の中での位置付けがどのようになされていくのか。私とすれば、それはそれなりに積極的に受け止めていただけるものというふうに理解をしておりますが、この点についての方向性も含めて御説明をいただければ有り難いと思います。
○政府参考人(荒木二郎君) 薬物乱用対策について関係行政機関の相互の連携を確保し、薬物乱用問題に政府一体となって対処をいたしますために、平成九年一月、総理を本部長とする薬物乱用対策推進本部を設置しているところであります。
 委員御指摘のとおり、平成十五年に薬物乱用防止新五か年戦略を策定をいたしまして、青少年による薬物乱用の根絶、密売組織の壊滅と乱用者に対する取締りの徹底、密輸入の阻止と国際協力の推進、依存・中毒者とその家族への支援の充実と、この四点を目標として掲げまして、関係省庁が諸対策を推進してきているところであります。
 これまでのところ、例えば少年の覚せい剤での検挙人員が平成十三年ごろに比べますと昨年度は半分以下に減少するとか、あるいは麻薬特例法を活用いたしまして、暴力団の違法な収益を十六年度でありますと四十億円以上没収、追徴をする、さらには、海外からの密輸入が我が国の薬物ほとんどでありますけれども、これにつきましても、十六年度、百件以上の検挙を行うなど、それなりの成果を上げているものと認識をいたしております。
 違法ドラッグにつきましては、現在の新五か年戦略におきましても、成分中に規制薬物が含まれるなど各種法令に違反するものにつきましては、関係機関が連携して取締りを推進するということになっております。
 しかしながら、御案内のように、薬事法違反として取り締まるにはなかなか難しい点もございました。今回の法改正は、この違法ドラッグにつきまして物質指定によって厳しい規制がなされることとなっておりまして、本改正案が成立しました場合には、政府を挙げて厳しい取締りを一層推進しますとともに、青少年等への啓発についても力を入れてまいりたいと、このように考えております。
○朝日俊弘君 ありがとうございました。
 それで、今の御説明の中にあった新五か年戦略の中にも、目標の第四というところで触れられております柱が、薬物依存・中毒者に対する治療とかあるいは社会復帰の支援、そして再び乱用を防止すること、さらには薬物依存・中毒者の家族への支援、こういうことも目標の四番目に大きく掲げられております。
 私は、先日の参考人の皆さんにもお尋ねをしたんですが、もちろん法律をきちっと定めて取締りをする、強化する、さらには啓蒙活動をより丁寧に広げていく、こういうことと同時に、依存、中毒に陥ってしまった人たちへの治療や様々なサポート、支援がどうしても必要になるだろうと、こう思います。そういう点について、もちろん幾つかの省庁それぞれ、例えば学校では文部科学省等が担っていただくことになると思いますが、中心的には厚生労働省の関連分野の人たちが積極的に受け止めていただく必要があるだろうというふうに思います。
 皆さんも既に御存じのとおり、精神保健福祉法の中にも、そのような定義付けをして、それぞれ治療なりあるいは支援なり、必要な役割を果たすという位置付けがなされているというふうに私は思うんですが、ただなかなかこの薬物依存、薬物中毒という概念とアルコール依存、アルコール中毒という概念とが大分違っていまして、実質的にはほとんど似ているんですけれども、精神医療の分野では、アルコール中毒、アルコール依存についてはそれなりの取組、実践がなされてきているけれども、薬物乱用あるいは薬物の依存に関しては必ずしも十分な支援が展開されていないんではないかという気がしております。
 是非、そういう意味では、今後こういう法改正をした上で、厚生労働省の精神保健福祉サービスを担う部分もそれなりの積極的な努力をしていただかなきゃいけないと思っているんですが、この点についてどうお考えか、お聞かせください。
○政府参考人(中谷比呂樹君) お尋ねに御答弁申し上げます。
 精神保健福祉法上、精神障害者につきましては精神疾患を有する者という疾病概念で規定されておりまして、個別具体の症状において、精神上、心理上及び行動上の異常や機能障害によって生活を送る上での能力が相当程度影響を受けている状態にある方と、これが施策の対象になっております。
 したがいまして、御質問のあります指定薬物による依存症などの患者の方々につきましても、こうした状況にある方であれば精神保健福祉法上の精神障害者に定義上該当するということになっております。
 そうして、該当するとどうなるかということになりますと、自立支援法の適用にもなりますので、例えて言えば、様々なサービスの利用が可能となってまいります。
 例えば、精神科の通院医療費の一部負担をする、これがいわゆる精神通院公費、あるいは社会復帰を支援する就労移行支援や生活訓練などの福祉サービス、それから、障害者の創作活動や交流の場を提供する地域活動支援センターの利用、こういう様々なサービスがございますが、ただ、委員おっしゃったとおり、なかなかそのサービスモデル、これについて未熟だということもございますので、関係者の御意見も聞きながら努力をしていきたいと、このように思っております。
○朝日俊弘君 この領域は、いわゆるサービス提供側がどういうサービスを提供するかということと同時に、セルフヘルプグループというか、自分たちでどう立ち直るのか、あるいはどう立ち直ることを支援するのかということが非常に大事なんですね。ですから、必ずしも狭い意味での医療の枠に引き込んでどうするということだけではなくて、そういう人たちを支え合うような仕組みづくりというか組織づくりというか、そういう観点も是非必要なんではないかと思うんですね。
 もう釈迦に説法ですけど、例えば、アルコールでいえば断酒会とかあるいはAAとか、そういう自主的なグループがあるわけですが、なかなか薬物依存の世界になるとそういうところまで、まあ幾つかあるはあるんですけど、玉石混交というか、まだまだ十分育ち切れていないという感じを持っていますので、そういう点にも是非留意をいただきたいなということを、これは要望しておきたいと思います。
 さて次に、麻薬とか覚せい剤とかあるいは向精神薬とか、そして今回の違法ドラッグとか、こういう使用する薬物の性質上、しばしば刑事施設においても厄介になる方が出てくる。その途中にというか入舎中に、例えば拘置所にいたり刑務所にいたりする中で突然この薬物が切れるというか中断していわゆる離脱症状というか、昔は禁断症状と言いました。離脱症状が出て、相当精神医学的な支援というかサポートあるいは治療が必要になってくる事例があるんじゃないかと思うんですね、それはちらほら聞いているんですが。
 ところが、刑事施設における医療体制というのはもう二、三年前、随分議論になりまして、たしか行刑改革会議ですか、チームをつくって検討するということもあったというふうに聞いているんですけれども、果たして今の状況である程度、特にここで強調したいのは、精神医療を中心にきちっとした治療あるいは対応ができるような体制が取られているんだろうかと。当然それはもう、必要なこういう人たちに対しては十分それは想定して準備しておかなければいけないと思うんですが、どんな状況なんだろうか。そして、二、三年前いろいろ問題になって、多少改善してきているんだろうかどうだろうか。その辺をお聞かせください。
○政府参考人(小貫芳信君) 刑務所等の刑事施設におきましては、拘禁を行う国の責務として必要な医療を提供することとされております。
 精神障害を有する者につきましても、専門的な精神科治療を必要とする者につきましては医療刑務所等に収容し各種の精神科治療を行っておりますし、医療刑務所等に収容するまでもない軽度の者については一般の施設において治療を行っており、また必要に応じて、外部医療機関等の協力を得てその機関に移送することなども行っているところでございます。
 ただ、近年、精神障害を有する被収容者が増加傾向にあるということから、先生御指摘の行刑改革会議の提言等も踏まえまして、非常勤の精神科医師や作業療法士の配置などを進めているところでございます。
 さらには、各刑事施設におきましては、被収容者の処遇に携わる職員に対しまして、精神疾患の特徴あるいは精神障害者に対する処遇方法等に関する正しい知識を付与するための医療関係研修を実施して、始めたところでございます。
 今後とも、刑事施設の精神科医療の充実に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
○朝日俊弘君 今日は十分時間が取れなくてお尋ねすることができませんけれども、例の心身喪失者等医療観察法の審議のときに、関連して医療刑務所等にも視察に行かせていただきました。やっぱり、刑事施設に入所、拘禁されている方たちに、単に精神的な問題だけじゃなくて、医療を適切に提供できる体制を確保しておくということは極めて重要であると思いますし、とりわけこの薬物に係る、関連する事案というのはえてしてそういうことが起こりがちでありますから、是非、取締り、啓蒙を声高に叫ぶだけではなくて、あるいは刑をどう科すかということだけではなくて、きちっとその必要な人たちには必要な治療なり支援をするという側面もきちっと押さえて対応していただきたいなというふうに思います。
 最後に、それじゃ大臣にまた締めをしていただきますが、この今回の、違法ドラッグについて薬事法の改正で対応するということで出されてきているわけですけど、御存じのとおり、あへん法があり、大麻取締法があり、麻薬及び向精神薬取締法があり、覚せい剤取締法があり、そして薬事法があってということで、それはそれなりに必要な時々の対応をしてこられたんだと思いますが、医学的に言うと、ちょっと参考までに、国際疾病分類というのがあるんですが、そこではこういう分類になっているんですよ。
 大きなくくりとしては精神作用物質使用による精神及び行動の障害ということで、これが大きなグループになっていて、その中に九つぐらい項目があるんです。ざっと読みますと、アルコール、あへん、大麻、鎮静剤、コカイン、カフェイン、幻覚剤、たばこ、それから揮発性溶剤、そしてその他、多剤と。つまり、精神作用物質の使用という観点で医学的に見ると、これ全部一くくりになるんです。その上で、どういう状態があるかということを分類していく、こういう仕組みになる、この国際疾病分類では。
 で、何が言いたいかというと、法律がちょっとばらばらし過ぎているんじゃないかと、もう少し体系的にこの精神作用物質に対する取締りと治療と両側面を備えた法体系を一度考えてみていただけないだろうかと。今回はたまたま薬事法の一部改正で対応される、そのこと自体に反対するものではないけれども、次々次々必要に応じてこれを作り、これを作りとやっていると、どうも全体的な仕組みがうまくかみ合わなくなってきているんじゃないか。特に、多剤使用する方、あるいは一つの物質から次の物質へ移る方、結構おいでになるんですね。そうすると、あるときはこちらの法律で、あるときはこちらの法律でと、こうなっちゃう。
 是非これ、一つ中期的な課題だと思いますけど、個々必要に応じて対応する法改正を継ぎはぎでやるだけではなくて、継ぎはぎと言ったら怒られるかな、だけではなくて、もう少し体系的に組み立て直すあるいは再構築してみるという、そういう方向が必要ではないかと私は思っているんですけど、この点についての大臣のお考えをお聞きして、終わりたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君) 御指摘いただきましたように、薬事法のほか、麻薬及び向精神薬取締法、覚せい剤取締法、大麻取締法及びあへん法に分かれております。
 委員も御理解いただいていますように、今回の問題は、違法ドラッグという問題にスピード感を持って対応したい。最近、確かに数は減ってきております。平成十二年の逮捕者が二万人、平成十六年が一万五千人、だんだん減ってきていることは事実でございますけれども、ヘロイン、あへん等が減ってきておる一方、MDMAまた大麻関係が急増いたしてきていると。そういう変化の中にどう対応するかということでいろいろ法律をいじってきたことは事実でございます。
 私の経験で申し上げると、携帯電話をめぐっての犯罪が随分増えまして、迷惑メール取締りをやってみたり、おれおれ詐欺を取り締まるために、これまあ詐欺とか恐喝という方の法体系でありますけれども、一方でそれだけに着目した法律を作ったことがございます。
 しかし、本来からすれば、きちっと体系付けてやっていくべきであろうということはもう委員の御指摘のとおりだろうと思います。あわせて、社会復帰というものも、治療と社会復帰というものを含めてしっかり体系的に勉強してみろという御指摘をいただきました。十分勉強させていただきたいと思っております。
○朝日俊弘君 終わります。
○委員長(山下英利君) 午後一時二十分から再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十二分開会
○委員長(山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、薬事法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 前回、専ら局長にお聞きしたので、今日は専ら大臣にお伺いしたいと思っているんですが、前回も、そして各委員からも、自民党の委員からも指摘があったアスタリスクの付いている薬剤の扱いであります。
 これやっぱりリスクに応じた分類をし、リスクに応じて情報提供を義務付けるということは、前も言ったように私は合理性があると思っているんですが、新しい制度を始めるときなんですね。だとすれば、やはりできるだけ広く国民の声を聞いて対応するというのが私は政治のあるべき姿だろうと思うんです。
 前回の答弁では、審議会でそういう結論だったからということが繰り返されるわけですが、国権の最高機関は国会なわけですから、大臣、ここは、これだけ与党の議員からも意見が出ているときに、やはり政治判断としても、これはアスタリスク付いているものについては少なくとも一類と同じに扱うとすべきではないだろうか。これ数でいえば、何度も言われているように一類は十一成分にすぎない。しかも、二類のアスタリスクも二十五成分にすぎないわけです。
 この二十五というのは適切かどうかというのは議論、私あると思いますが、しかしこれらを全部一類扱いにしたとしても全医薬品の七%弱でしかないわけで、私は少なくとも新しい制度をつくる、始めるというときですから、ここはしっかり国民の声を聞いて、こういった疑わしきもの、危険性があると思われるものは、やはりそれなりの情報提供義務を課すという形でスタートさせるべきではないだろうか。
 注意すべき事項が明らかになっているからこれは二類なんだというふうに説明をされているわけで、だとすれば、なおさらのこと注意すべき事項を薬剤師がきちっと伝達することによって副作用を防ぐ。これこそが、私は本法案の精神であると。本法案の精神にこたえる形でスタートさせるのであれば、やはり少なくともこの二類アスタリスクについては一類と同じ扱いでスタートさせるということに踏み切るべきじゃないかと思いますが、これ大臣、いかがですか。
○国務大臣(川崎二郎君) 今日まで御議論をいただいてまいりまして、答弁もさせていただいてまいりました。ここへ来て答弁を変わるわけにはいきませんので、御理解を賜りたいと思います。
 一般用医薬品のリスク分類に当たっては、医学、薬学等の専門的知見を有する学識経験者のみから構成される専門委員会、審議会の中で専門委員会を設け、専門的な知識、経験を下にそれぞれの成分についてリスク評価をしたということでございます。
 この結果、アスタリスクの付されている成分を含めた第二種医薬品は日常生活に支障を来す健康被害がまれに生じるおそれがあるものの、一般用医薬品としては歴史が長く、注意すべき事項が明らかになっているものであることから、第一類医薬品ほどリスクが高いと言えないとされております。
 なお、アスタリスクの付された成分についても副作用の発生状況等に関する今後の新たな知見が得られた場合には、薬事・食品衛生審議会の意見を聴き、必要に応じて分類の変更を行うということも再々御答弁をさせていただいております。
○小池晃君 私は、国会というのは議論の場ですから、その議論の中でやはり認識が変わり、それは変化するというのはあり得ることだし、そういう国会での議論を踏まえて答弁が変わったって答弁不一致だとか、そういう追及したりしませんよ。それは前進だというふうに評価しますよ。だったら、だって議論する意味がないじゃないですか。これ、我々野党だけ言っているわけじゃなくて、与党からも同様の指摘があるということを私、本当に重く受け止めるべきだというふうに思います。
 続いて、配置薬、この間何度も問題になってまいりまして、この経過措置の問題で。少なくとも審議会では経過措置の中身について議論がなかったということが参考人質疑で出ているわけですね。
 先ほど、局長は答弁の中で、基本的な考え方は検討会で議論をして、具体的な在り方は法案作成で出したというふうにおっしゃるんですが、私はこの経過措置の在り方ってかなり基本的な問題なんではないかと。要するに、経過措置というのは普通に考えれば、古い制度から新しい制度に移行していくと、すべからく移行していくのに一定の年限を掛けて徐々に徐々に移行していくというのが普通は経過措置だと、そう思うんですよ。
 ところが、今回の仕組みというのは、どう考えても、新しい制度と同時に旧制度のままずうっと移行していくという仕組みが残された。私、これはかなり基本的、根本的な問題ではないかと思うんですね。このことが一切審議会で議論されなかったということなわけですから、私、少なくともこの問題については審議会でもう一回検討するという必要がある問題ではないかというふうに思うんですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(川崎二郎君) この認識でございますけれども、資質を確認することが適当であるとしつつ、一方で、購入者や事業活動に無用の混乱を与えないよう何らかの経過措置を設けることが必要と、こういう、ある意味では二つの意見というものが出てきた中において最終的な判断をいたしたものでございます。
 これはもうこの委員会でも、配置の問題について、経過措置を一定年限で区切るべきだという御意見と区切るべきでないという御意見、正に国会の中で議論をいただきました。そういった中で、私ども、配置販売が一定の社会的役割を担ってきていること、配置販売が三百余年もの長い伝統の中で培われてきた我が国固有の販売形態、先用後利であり、またこれに従事する者の知識、技能は親から子へ、先輩から後輩へと伝えられてきたという側面も持っている、また販売品目は限定的に認められている、こういうことから、一方で、配置員の資質の向上については私ども努力をしてまいりたいと。業界としっかり話合いをしながら努力をいたしますと同時に、試験というものをクリアする方向で努力をしてほしいと、こう申し上げてきたところでございます。
 そういった意味では、私ども、この問題についても今回の法案でお示ししておりますとおり、この段階で経過措置を一定年限で区切るということは今回はしないということで御理解を賜るようお願いをしているところでございます。
○小池晃君 私はその配置薬業界の大事さ、そしてその特性、それは十分理解しているつもりでありますし、一律にすべて新制度に直ちに移行せよというようなことが妥当でないことは当然だと、やっぱり一定の経過措置あるのは当然だというふうに思うんですね。
 しかし、大臣今おっしゃられた親から子へ、子や孫へという仕組みでいえば、これ逆に何か矛盾が私はあるように思うんです。といいますのは、個人事業者の場合は言わば経過措置、その代限り、その人限りなわけです。だから、親から子へ仕事を譲る場合には、そのお子さんが既に業者として認定されていれば別ですが、そうでなければこれは経過措置の対象にならない。逆に、試験受けて登録事業者にならなければならないということになる。
 一方で、法人ということで認定されれば、いったん認定されれば、これから入ってくる新入社員も含めて、もう次から次へと無資格者で仕事が続けられていくと。本当の意味で伝統ある配置業者については、個人業者はある意味では非常に一代限りで経過措置終わってしまうにもかかわらず、法人事業者は未来永劫、これは仕組みの上では旧制度のまま、無資格のまま仕事ができる。私、これはどう考えてもおかしいんではないかと。
 先ほど、局長は、こういう規制はやはり一律でなければいけない、団体の大きさ、企業の大きさによって分けてはいけないと、それはおっしゃるとおりだと思うんですよ。やっぱり規制ですから、そういう分け隔てがあってはいけない。だとすれば、この経過措置こそが私は分け隔てある一律でない形に実態としてなっている。こういう法人について、いったん法人として認定されればずっとやれるという仕組みを残してしまう。大臣、これでいいんですか。私はこれ非常に大きな矛盾ではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(川崎二郎君) 先ほど御答弁申し上げたように、今までの経験の中で、一方で、できるだけ試験を受けて資格を取っていただきたいという方向性は私ども進めていかなければなりませんけれども、長年の経験の中でこれから試験を受けるのかという方々がいらっしゃることも事実でございます。
 一方で、今御指摘のような若い人たちには、やはり業界の信用を高めるという意味でも、できるだけ試験を受けていただいて資格を取っていただくというような方向で私ども業界としっかり話合いをしていかなければならないと、こう思っております。そういった意味では、それを私ども努力していくということで御理解を賜りたいと思います。
○小池晃君 私は、お願いするということだけではこの法の構造の持つ基本的な欠陥を補うことにはならないというふうに思います。しかも、その新しい制度に移行していくんだということを再三再四御説明されるわけですね。
 ちょっと、これ局長にお聞きしたいんですが、先ほどの議論の中でも二百七十品目から四百七十品目に増えるということで、これが言わば、何というんですか、インセンティブだという趣旨で多分先ほどおっしゃったんだろうというふうに思うんですよ、新しい事業体の方に移行していく場合に。しかし、この今の二百七十品目で十分御商売ができているわけです。風邪薬や胃腸薬だと基本的な配置薬としてはそれで商売成り立っているわけですよ。私は、これで試験を受けて新しい制度に移行していくんだというインセンティブになっているんだろうかという点では、これは甚だ弱いというふうに言わざるを得ないと思うんですが、その点はいかがですか。
○政府参考人(福井和夫君) お答えを申し上げます。
 この経過措置の対象となっております既存配置販売業者につきましては、販売可能である品目は現行の配置品目が基本となる。その一方で、新制度における登録販売者を設置すれば、第二類、第三類の医薬品を扱えることになるということでございます。
 少し具体的に例を挙げて申し上げたいという具合に思います。こういったことによりまして、現在、配置品目には入っていない成分で一般用医薬品として評価されている解熱鎮痛剤、例えばイブプロフェンや、これは水虫、たむしの薬でございますけれども硝酸オキシコナゾールなど配合した製品が販売可能となる。評価されている医薬品でございますけれども、新たな商品展開が可能になるという具合に考えております。
 また、今後、一般用医薬品の一層の開発が進むことが予想されるわけでございますけれども、そういった中で国民の要望に沿った医薬品の提供、供給が可能であること、あるいは登録販売者から情報提供がなされることで購入者に対する信頼感が増すといったようなことも含めまして、販売上有利な立場になることから、新制度における配置販売業者になることはインセンティブがあるという具合に考えているところでございます。
○小池晃君 とはいうものの、現在の二百七十品目の中にも既に二類、三類、一定の数が含まれているわけですね。
 私は、そういう方向に移行していくんだと、試験も受けていただくんだというのであれば、本当に制度上、そういう方向に向くような仕組み、インセンティブというのは今のでは不十分だと、極めて不十分だというふうに言わざるを得ないし、やはり新制度に移行していくような政策的な仕組みをもっともっとつくり上げていかなければ、これは旧制度のままでいくという業者が残る可能性が非常に高いのではないかということを大変危惧をいたします。少なくとも、例えば旧制度のまま商売をするということであれば、一定の医薬品について販売対象から再検討するというようなことも含めてこれ考えるということをやらなければいけないのではないかというふうにも思います。
 それから、インターネット販売について、これは対面販売が原則だということ、法文上もあるわけですが、これ大臣、インターネットでいろいろ調べてみると、これバファリンあるいはH2ブロッカー、あるいは男性ホルモンなど、二類、三類はもちろん、一類の薬まで結構売られているという実態がある。これはもう普通にインターネットでちょっとアクセスするだけでいろんなものが出てきますよ。
 私、こういうことを野放しにしておいて国民の健康を守ることができるんだろうかと。実態として、かなり一類まで含めて野放しでインターネットで売られているという実態を、これ大臣として何らかの手を打つべきではないかと思いますが、これはいかがですか。
○国務大臣(川崎二郎君) 今回、法改正がされましたら、改正後の薬事法においては、薬局開設者又は店舗販売業者は、その薬局又は店舗において第一類医薬品を販売する場合には、省令で定めるところにより、薬剤師が書面を用いて適正な使用のために必要な情報を提供させねばならないこととしており、これに基づき対面販売により情報提供することを求めると、こういう方向性になっております。したがって、違反した場合には改善指導することとなり、場合によっては新たに改善命令、許可の取消しまで考えなければならないだろうと、これは新しい方向性でございます。
 現行法で、インターネット販売業者について、薬剤師による対面での情報提供が必要となる第一類医薬品を販売している事案について、これは実態を確認の上、そうした状況があるなら注意喚起や指導を行うこととしたいと考えております。インターネット販売を行っている業者に対する指導は通知に基づくものであり、強制力をもって取り締まることは現行法のままでは困難であり、必要な注意喚起や指導をしつつ当該業者の納得を得られるよう進めることとしたいと。そういう意味では、この法についてどうぞ御協力を賜りますようお願い申し上げます。
○小池晃君 続いて、陳列規制の問題についてお聞きしたいんですが、一類はオーバー・ザ・カウンター義務付ける、二類についてはオーバー・ザ・カウンターに努めると。
 これは局長にお聞きしますが、基本的な考え方として、一、二類についての陳列販売規制の基本はオーバー・ザ・カウンターという理解でよろしいか。
○政府参考人(福井和夫君) この制度改正検討部会の報告におきまして、委員御案内のとおりでございますけれども、第一類医薬品につきまして、これはいわゆるオーバー・ザ・カウンターを義務付けるべきであるということとされておりまして、これを踏まえまして今後これを義務付けることとしているところでございます。
 一方、第二類医薬品につきましても、オーバー・ザ・カウンターとすることが努力義務という具合にされておるわけでございまして、第二類医薬品についても可能な限りそういったことが望ましいということは考えておるところでございます。
 しかしながら、第二類医薬品につきましては、日常生活に支障を来す健康被害がまれに生じるおそれがあるものの、一般用医薬品としての歴史が長く、注意すべき事項が明らかになっているものであることから、一般用医薬品としての市販経験が少なく、一般用医薬品としての安全性評価が確立していない成分又は一般用医薬品としてリスクが特に高いと考えられる成分を含む第一類医薬品ほどリスクが高いとは言えないという具合に考えております。
 また、第二類医薬品全体につきましてオーバー・ザ・カウンターとした場合には、実際には店舗の構造設備上支障が生じる、そういう可能性もあるわけでございまして、第二類医薬品すべてにつきましてオーバー・ザ・カウンターを義務付けることにつきましては、なかなか現実的でないんではないかという具合に考えております。
○小池晃君 いや、それはもう私分かっている話で、私は基本的な考え方として、基本がオーバー・ザ・カウンターという考え方なのかということを聞いたんですけど、なかなか前向きには言わないわけですね。その辺がやっぱり腰が引けていると私思うんですよ。
 その陳列規制についての趣旨なんですけど、じゃ、これはどうかと。法案が新たに設けた薬剤師、登録販売者にこれ相談応需義務。これはその相談があったときに受け身に応ずるということだけではなくて、一類や二類のアスタリスクについては積極的に情報提供を行うことを求めていく。そのために、医薬品を消費者が手に取ったときに薬剤師、登録販売者がその事実を把握できるような体制を取るために行われるというふうに理解してよろしいですか。
○政府参考人(福井和夫君) 委員御指摘の第一類、第二類、このアスタリスクの付いたものでございますけれども、これにつきましては、いずれもそういう意味におきまして積極的な情報提供が必要ということでございます。
 これにつきましては、今回の改正案におきまして、第一類医薬品につきましてはオーバー・ザ・カウンターが義務付けられまして、販売の際には薬剤師が必ず情報提供を行うという機会が確保できるようにしておるところでございますが、一方、アスタリスクの付された成分を含む第二類医薬品につきましては、報告書におきまして、「オーバー・ザ・カウンター又は積極的な情報提供を行う機会をより確保することが可能となるような陳列・販売方法とすべき」というのが検討部会における報告でございます。
 これを踏まえまして、今回の改正案におきまして、このアスタリスクを付された成分を含みます第二類医薬品につきましては、オーバー・ザ・カウンター又は積極的な情報提供を行う機会をより確保することが可能となるような陳列・販売方法として、例えば現時点において考えておりますのは、相談カウンターを設けた上で、カウンターから見える場所で、かつカウンターより一定の距離の範囲内のところに陳列をするといったようなことが必要ではないかという具合に考えております。
 いずれにいたしましても、薬剤師や登録販売者が消費者の行動を把握した上で積極的な情報提供を行う機会がより確保されることが重要であると考えておりまして、そのための手段としてどのような陳列方法が適当であるのか、具体的にどういった方法があるのか、法案成立後に検討をしてまいりたいと考えております。
○小池晃君 私が言ったような趣旨ですと答えればすぐ済む話じゃないですか。そういうことを聞いたんです、私は。
 一、二類を販売する店舗販売業者の場合ですが、これはもうイエスかノーかで答えてくださいね。販売カウンター、相談カウンターに薬剤師、登録販売者の常駐を義務付けるということでよろしいんですね。
○政府参考人(福井和夫君) 薬剤師又は登録販売者は、一般用医薬品の販売に際して医薬品のリスクの程度に応じて情報提供等を行うことが求められることから、薬局や薬店に常駐することになるという具合に考えております。
 常駐する場所でございますけれども、カウンターを設けて常駐するということは一つの望ましい例であるという具合に考えておりますが、具体的な専門家の配置の在り方につきましては更に検討が必要であるという具合に考えております。
 いずれにいたしましても、法案成立後、関係者の意見も聞きながら、具体的な配置方法について検討させていただきたいと思っております。
○小池晃君 常駐は義務付けると。要するに、不在の場合は医薬品の販売はできないということですね。それはもうイエスかノーかで、余計なことを言わないで答えてください。
○政府参考人(福井和夫君) 第一類医薬品を例えば売る場合におきまして、薬剤師がいなければ、これは医薬品の販売はできないということでございます。
○小池晃君 二類は。一、二類で聞いているんです。今、一、二類を販売する販売業者の場合はという頭を付けて言ったんですから、二類も含めて言ってください。
○政府参考人(福井和夫君) 二類につきましても、基本的にはこれは、薬剤師でもいいわけでございますけれども、登録販売者がおって情報提供をするということだという具合に考えております。
○小池晃君 不在の場合は売れないということですねというふうに聞いたんですが、そういうことなんですね。
 法令遵守義務の問題なんですけれども、これは、販売時に薬剤師がいなかった店舗が一六%という現実がある。医薬品等一斉監視指導の集計結果、これ見ても、薬剤師の不在率、一般販売業で〇二年で実に二三・一%、〇四年度で一七・八%と。一斉監視指導ですから、期間を決めて集中して行う指導でさえ二割が不在であるという実態があると思うんです。
 今回は、ある意味では、実態がこうだから実態に合わせて規制法自体の枠組みを変えるという考え方になっているわけですけれども、じゃ、その枠組みを変えたのであれば今回の枠組みは、じゃ必ず守らせる必要があると、それは当然のことだと思うんですが、この担保について、大臣、どのようなことをお考えなのか、お聞かせください。
○国務大臣(川崎二郎君) 実態において、薬剤師等は医薬品の販売の際にそのリスクの程度にかかわらず一律、抽象的に情報提供に努めることとされておりますが、今御指摘いただきましたように、薬剤師不在等の実態もあり、情報提供が十分に行われていないと、このように考えております。
 新しい改正によって、薬剤師に比べて人員を確保しやすい専門家としての登録販売者の制度を新たに創設することに併せて、着衣、名札の区分、店舗で扱っている医薬品の種類、販売時の対応者等について店舗内に掲示を行わせることといたしております。また、購入者等からの苦情を受け付ける相談窓口を都道府県等に設置することについても検討いたしております。これらの措置により、店舗側が自ら制度を遵守するインセンティブが働くと考えておりますし、一方で、購入者によるチェック機能も働くことになると考えております。
 監督指導体制については、監視指導部門と苦情相談窓口との密接な連携を図るなどにより、必要に応じて適宜店舗への立入調査を実施するなど、実効性があり、かつ効率的な体制で監視指導が行われるよう、その機能の強化を図ってまいりたいと考えております。
○小池晃君 これは、相談窓口などについては、都道府県だけではなくて医薬品機構や厚生労働省にも全国の統一窓口を設けるということを検討すべきだということも申し上げておきたいと思います。
 続いて、薬事行政の根本の問題なんですが、やはり薬害被害に対する深い反省、二度と再び薬害を繰り返さないという強い決意、これがその土台になければ、どんな仕組みをつくったところで私はいいものにはならないというふうに思うんです。その点で、HIV薬害訴訟の歴史的和解から十年経過して、今重大な問題が起こっていますので、最後にその問題をお聞きしたい。
 これ、和解ということを選んだ、これはなぜかといえば、国や製薬企業の責任が明確だった上に、とにかく一刻も早い救済が求められていたからだろうというふうに思います。ところが、そうした経緯にもかかわらず、現在までに国が和解を拒んでいる提訴者が四人いる。これは、和解に応じていない理由を簡単に説明してください。
○政府参考人(福井和夫君) 血液製剤によりますHIV感染につきましては、平成八年に裁判上の和解を行っておりまして、その後、未和解者につきましても、個別訴訟が提起されるたびに、平成八年の和解の枠組みに沿いまして、これまで迅速に対応してきたところでございます。
 現在、四件の和解協議を進めているところでございますが、このうち二件につきましては、和解を行うために必要な事実認定の手続中であります。残りの二件につきましては、原告に血液製剤が最終的に投与されたときから二十年を経過していることから、除斥期間が問題となっております。
○小池晃君 ということは、その後半の二人というのは、除斥期間を理由にしていますけれども、血液製剤由来のHIV感染であるということは認めているわけですね。
○政府参考人(福井和夫君) そういうことでございます。
○小池晃君 和解と同時に確認が行われているんですよ。これ、血液製剤経由での感染が立証された場合には九六年の和解と同条件で和解に応じるというのが約束なんですね。ところが、これ、除斥期間ということを問題にしている。除斥期間は、これ、二人のうち一人はわずか四日間なんです。一人の方も一年余り除斥期間を経過したということを理由にして国は和解を拒んでいるわけですね。
 これ、大臣、これは政治的な問題だと私は思うので、大臣にあとお聞きしたいんですが、この二人についても血液製剤による感染であるという事実は、これ明確なわけです。もしこれで国が除斥期間ということを理由に和解に応じないということになれば、これは判決によって結論を出さざるを得ないという方向になってくる。そうすると、長期にわたって原告、被告とも闘わなければいけない。
 しかも、この除斥期間ということを持ち出して拒否するということになれば、これ、非加熱製剤の最終投与から二十年経過する二〇〇七年を超えたら一切の被害者の救済に応じないということにこれはなってしまうわけですよ。
 で、私は、この和解というのは、被害者全員の救済ということが和解の趣旨だったわけで、十年前の和解の精神にこれは明確に反するというふうに言わざるを得ないと思うんです。ハンセン病の判決では、これは除斥期間の解釈について国と異なる見解を裁判所が取って、この点留保しつつ、国は政治決断で被害者の早期かつ全面的な救済のために控訴せずに判決を確定させたという、これは事実であります。
 私は、十年前のあの薬害エイズ訴訟の、あのときの和解の精神にのっとれば、これは除斥期間なんということを持ち出すのではなくて、当然やはり同様の立場で和解に応じるというのが私、必要だし、そういう政治的な決断を大臣、すべきではないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(川崎二郎君) まず、除斥期間が経過した方に対しても、HIV感染者に対する健康管理費用の支払、通常月三万五千八百円でございます、医療保険自己負担額の全額公費負担など、行政上の措置についてはまず実施をさしていただいております。
 この除斥期間の問題、個別事案を超えた法制度の根幹にかかわる問題ということで、正直、今日もこの御提案いただいて、法務省と議論してみなきゃならない根本的な話だろうと思っております。裁判所との見解もどうなるか踏まえた上、対応していかなけりゃならぬだろうと。厚生労働省としては、除斥期間の問題がなければ、通常のHIV感染にかかわる和解の枠組みに沿って対応すべき事案と考えております。少し、法務大臣とも私自身議論してみたいとは思いますけれども、この段階ではこの御答弁で御勘弁賜りたいと。もう少し勉強してみます。
○小池晃君 十年前にまあああいう決断踏み切ったときには、とにかく被害者全員を救済するんだという、そういう枠組みだからこそこれは和解ということが成り立ったわけで、それを今になってひっくり返すようなことを私は国が絶対にやるべきでないと。この問題については是非法務省と協議をしていただいて、和解の精神に沿った解決を是非政治的な決断で実現をしていただきたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。
○又市征治君 社民党の又市です。
 前回に続いて、法案改正における配置薬業の位置付けについて考えていきたいと思います。
 今年の冬は大変記録的な豪雪でありまして、被災で大変有名になりました新潟県の津南町であるとか長野県の栄村などでは、四メーターを超える豪雪で陸の孤島になったというのはよく報道されました。この地域の十軒に九軒どころか、まあ二十軒に十九軒ぐらいは富山や奈良の薬屋さんでおなじみの置き薬が配置されておりまして、大変助かったという話をお聞きをいたしました。
 また、かつての阪神・淡路大震災の折にも、被災をした人たちが、本格的な救援が来るまでの間、避難した広場に一軒一軒に置いてあった置き薬を何とか家から持ち出して急場をしのいだ、その果たした役割は大変大きなものがあったというふうにもお聞きをいたしました。
 置き薬の業者は、山間へき地まで年三回とか四回定期的に訪問して、家に上がって話し相手になり、重大な疾病を早期に発見をしたり、あるいは専門機関を受診する手助けになったり、また、都会でも、少子高齢化あるいは核家族化の進展の中で、独り暮らしのお年寄りあるいは障害者の方々の家庭を訪問し、その人たちの話し相手であるとか健康相談であるとか、あるいは情報提供であったり、こういうことを果たしているわけでありますし、また、本業のセルフメディケーションを推進をし、年々増大する医療費の抑制というものにも貢献をしているし、更に今後も貢献が期待される、こういうことであります。
 最近では、モンゴルやフィリピンでもこの日本の独特の置き薬システムを導入されようとしたり一部導入されている、こういうふうに聞いておるわけですが、こうした置き薬システムは、薬局、薬店の方がまあ多いんですが、トータルしますと全国で八万数千店にも上るわけでありまして、非常に世界でもまれに見るきめ細かな医薬品の対面指導販売網を形成をしている。その果たしている役割というのは大変大きいんだと思うんですが、前の片山元総務大臣も行政評価のところでこの件については大変高く評価をされておりましたが、前回、厚生労働大臣の見解聞いておりませんでしたんで、大臣の評価なり所感というものをまずお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君) 配置販売は、購入者の家庭に医薬品を預け、後日訪問した際に使用した分だけの代金を精算するという、三百余年もの長い伝統の中で培われてきた利便性の高い我が国固有の販売形態であると認識いたしております。その特徴から、配置販売には、購入者の家庭において対面による適切な情報提供や相談対応を行い、医薬品を購入するため外出することが困難な家庭に対する一般用医薬品の供給等という社会的役割も担っていただいていると認識しております。また、災害時において果たした役割や諸外国における状況など、いろいろお話をいただきました。
 このようなことを踏まえ、今回の改正では、配置販売業については、地域において一般用医薬品を供給する店舗販売業と並ぶ一般用医薬品の販売形態の一つとして位置付けることといたしました。また、今回の改正により、店舗販売業と同様に、必要な情報提供及び相談対応を義務付けることといたしております。医薬品という生命関連商品を取り扱っているということを踏まえ、御指摘のような社会的役割に十分こたえていただけるよう、行政も含め関係者が資質の向上に取り組んでいく必要があると考えております。
 先ほどから御議論いただいておりますとおり、配置販売業というものについての評価、そして経過措置を設けることについては大体御理解をいただいておりますけれども、年限を切るべきか切らないべきか、いろいろ御議論いただいております。しかし、今回は年限を区切らないという形で御提案をさせていただきました。それだけに、やはり資質の向上をより一層業界の皆さん方に図っていただかなければならない、また我が省としてもできるだけの協力をしてまいりたいと、このように考えております。
○又市征治君 具体の質問に入る前に、福井局長、ちょっとお聞きをしておきますが、改めて、平成十六年度の医薬品によるものと疑われる副作用の報告ですね、総数は何件で、そのうち一般薬が原因と思われるもの、さらにその中でも配置薬が原因と思われるものについて何件ずつあったか、その後の病状などについても紹介していただきたい。
○政府参考人(福井和夫君) ちょっとただいま手元に数字がございませんが、平成十六年度で申し上げますと、医療用医薬品の副作用、これ、私どもの方へこの報告を受けたものでございますが、これが約二万五千件であったという具合に承知をいたしております。
 一方、一般用医薬品、これは配置薬を含みますが、一般用医薬品につきましては、これは三百件であったという具合に承知をいたしております。その三百件の中で配置販売用医薬品として売られたということが確認がなされておるものが十四件であるという具合に承知をいたしておるところでございます。風邪薬が八件、解熱鎮痛薬が二件、その他四件ということで、主な内容は皮膚障害、肝障害ということで、すべて回復又は軽快したという旨の報告を受けているところでございます。
○又市征治君 ありがとうございました。
 ところで、今度の薬事法改正をめぐって全国の置き薬業者に大変混乱が起きた、こんなふうに伺っています。
 それは、改正案の第三十六条の四の試験について、昨年十一月、この配置薬の団体の一つ、全配協からあなたあてに、と同時に医政局長に、資質の認定については役所並みの試験レベルではなく、配置販売業の実態に即した試験内容としていただきたいなどの要望がなされて、それを両局長が了解したかのような話が全国の業者に伝わった、こういうことなわけです。そして、この団体の役員が、三月七日のこの法案決定のさきも後も、店舗と配置では試験内容は別々だと、こういう説明がされているために、業界では、法案の中身と違うんではないのか、一体どうなっているんだということで混乱を来したというふうに聞いているんですが、法案を見れば、このような了解や承認を厚生労働省が事前にしたとは到底思えないわけですけれども。
 こうした一部の団体の動きに、むしろ大変、それこそ前から議論されているように、薬害被害者の会の方々あるいは市民オンブズマン、そして薬剤師会や薬種商協会、チェーンドラッグストア協会、また配置薬業のもう一つの日本置き薬協会などにも誤解を与えたり、困ったり、怒ったり、問題を起こした、こういうふうに聞いているわけでありまして、元々、配置業者の皆さんにしてみれば自分の生活が懸かった問題ですから、いろんな要望や陳情に出向くというのは、それは当たり前だろうと思うんです。それは当然としても、こうした思い込みや先走りが大変混乱を起こしておるということではないかというふうに推測をいたしますが。
 そこで、再確認をいたしますが、試験は、店舗従業者も配置業者も同時に同一内容ということですね。この点、この場でも改めてきちっとしてもらって、業界の皆さんにも誤解ないようにはっきりさしていただきたいと思います。
○政府参考人(福井和夫君) 前回のこの委員会におきましても私御答弁させていただいたかという具合に思っておりますが、登録販売者の試験につきましては、一般用医薬品に関して情報提供及び相談対応を行うことは、配置販売業もそれから店舗販売業も、これは同様でございます。また、取り扱う一般用医薬品の種類につきましても、これは同様でございます。
 したがいまして、各業態を通じた同一内容の試験という具合に考えてございます。
○又市征治君 いずれにしましても、こうした業界に混乱を起こしているのは厚生労働省にも全然責任がないわけじゃないんで、そこらのところは是非きちっと、この後、業界にも徹底をいただきたい、こんなふうに思います。
 そこで、前回注文申し上げて答弁いただいていない問題、もちろんさっきから議論出ているんですが、この登録販売者の試験については、都道府県と業界が協力をして、それを厚生労働省が支援をして、つまり、厚生労働省が一定のガイドラインを作成をするなどによって、どの県で受験しても同レベルになるようにすべきではないかというふうに、前回このことについては注文を付けておきました。
 この点について見解をしっかりいただきたいと思います。
○政府参考人(福井和夫君) この試験につきましては、御指摘のように、例えば難易度等につきまして都道府県の間で差が生じないよう国が一定の関与を行うことといたしております。
 例えば、その試験の基本的な考え方は当然でございますけれども、出題の範囲、それから出題の方法、それから合格、不合格の考え方、こういったことにつきまして、これは今々というわけにはもちろんまいりません。法案を成立させていただいた後でございますけれども、都道府県関係者を含みます関係者から成る検討組織において具体的に御検討いただきまして、その結果も踏まえまして、御指摘のように、何と呼ぶかはちょっと別でございますけれども、ガイドラインを示すといったことも含めまして今後検討さしていただきたいという具合に考えております。
○又市征治君 そこで、もう一つ、大変これは論議になっている問題。大きな法人組織などで、売れればいい、もうかればいい式の売り込み訪問販売、こういうことが行われる危険性がある。あるいは、法人組織で次々と従業員が入れ替わってそうした商売を始めるということなどというものについてどう規制するのかということが大変問題になっています。
 今申し上げたような内容というのは、先ほど大臣からも紹介がありましたように先用後利などというシステムになっていない。まず一つそうですね。それから、対面指導販売とはこれは言えない。当然です。売り込みだけ、そのとき売れりゃいいという、こういう格好になるわけですから。そうした域を外れるものであって、これについてどう規制をしていくのか。
 参考人質疑でもこの問題については大変問題だということが出されているわけでありますし、私は、是非府県と協力をして業態を厳しくやっぱりチェックをする、そしてこれを規制していくということにならないと、言ってみれば、もう薬売りっ放し、もっと言うならば、薬事法に言うところの副作用などの事例が起こった場合に、製造者あるいは販売者はその副作用などの問題を報告しなきゃならぬという義務を負っているわけだけれども、これを果たせないという問題が起こる、こういうことになるわけですから、ここのところは非常に大事な問題だと思う。
 この点については、いや、大きいからとか小さいからとかなかなか難しいなんという話されているけれども、このことをきちっとやらないと正にしり抜けになる、ざるになる、こう言われているわけで、ここのところについての考え方をきちっとしてください。
○政府参考人(福井和夫君) 御案内のとおりでございますが、医薬品はその本質として効能効果とリスクを併せ持つものでございます。御指摘のように、適切な情報提供を受けた上で適正に使用すべきものであるという具合に考えております。
 今回の改正におきまして、配置販売業につきましても登録販売者等が設置される仕組みを設けることといたしておりまして、一般用医薬品の副作用、効能効果について対面による情報提供や相談対応が適切に行われることになるという具合に考えております。また、配置販売業者につきましては、今回の改正におきまして新たに都道府県の販売区域ごとに管理者を設置するということといたしまして、例えば当該区域内のこの配置員の業務の監督を行うといったことも含めまして、適正な業務が行われる体制を整備することとしているところでございます。
 また、以上は新制度でございますけれども、既存の配置販売業者に対しましても、これは附則、経過措置の部分でございますが、新規の配置販売業者と同様に、一般用医薬品のリスクに応じた情報提供、相談対応の義務を課すとともに、申し上げましたように、管理者を設置をいたしまして、配置員の業務の監督等によりまして適正な業務が行われる体制を整備することといたしておるところでございます。
 改正法案、この法案成立をさせていただければ、これら新たに設けられるこの仕組みに基づきまして配置販売業者を適切に指導していきたいという具合に考えております。
○又市征治君 繰り返しになりますが、薬事法七十七条四の二の第一項、医薬品の副作用によるものと疑われる疾病等の発生を知ったときは、製造販売業者等は厚生労働大臣に報告しなきゃならぬ。そういう意味で、あなたのところに、先ほど言われた平成十六年度でいうならば二万五千件余りと、こういう報告が上がったと思うんですね。先ほど私が申し上げたような、そうした販売方法を取る者にあっては、全くこうした副作用などの疑いを持つなどということが報告がしようがないという問題起こってくるわけですから、この点は本当に厳重の上にも厳重に、こうした業界ともしっかり話をしていかないといけない、そういう意味での厳しい監視というものを是非取っていただくように改めて申し上げておきたいと思います。
 次に、大臣にお伺いをしますが、改正案は附則の第十条で、今問題になっている、現に営業している配置販売業者には従来どおりの配置販売を認めることになったわけですね。なったんじゃなくて、しているわけですね。昨年十一月、厚生労働省から説明を受けたときに、試験は勉強すれば合格できるレベルにしたい旨の説明があったわけですが、私は、江戸時代から続いてきたこの医薬品の対面指導販売システム、とりわけ、先ほども紹介したような山間へき地まで、社会的弱者にあまねく利用されてきたこういう制度というのは社会的有用性も高いから守るべきだ。ただ単に一回の試験だけでいいのか、むしろ本当に毎年何回か講習を義務付けていく、こういうことによって資質の向上を図っていくというのが大事ではないか、またそのことをやっている、業界でも随分あちこちでやっているじゃないか、これを全国的にむしろ均一化をしていく努力が必要なんじゃないかということなどを申し上げました。
 そんなこともあって、附則第十二条の資質の向上で努力義務が設けられた、こんなふうにも私なりに思うんですが、現実に、今も申し上げたように、現に従事者の受講を義務化して具体的に努力している、そういうところは幾つもあるわけですね。そういうところから厚生労働省に対していろいろとそういう努力を求めてきておるときに、本年二月に医政局経済課長が、経過措置の細目、運用につきましては法案成立後皆様と御相談しながら内容を詰めてまいりたい、こう発言されたというのが業界新聞にも報道をされ、紹介されています。
 ところが、古い方の団体の方は、いや、それは風説の流布であって事実でないことを厚生労働省に確認済みだと、こういうふうに流しているということで食い違いが起こっておる。
 このように、改正案が発端になって業界が割れているようなこういう状況というのは極めて不幸な問題でもあります。法案作成に当たって関係団体の意見を十分聴取することは大事なことなんですが、厚生労働省の事前の説明に不十分さ、あいまいさがあったんではないか。
 さっきの件もそういうことではないかというふうに私は思うんですけれども、いずれにしましても、置き薬業者が隣接の各業界、つまり薬害被害者の皆さんであるとか、さらには学識経験者だとか厚生労働省などと話し合ってガイドラインを作って、薬剤師に倣って公益的でオープンな全国組織にまとまる、そしてどの県で受けても均一でタイムリーな講習を定期的に受ける、こういう制度にしていくということが資質向上、利用者の安全の保障になるんだろうと思います。
 特に、日進月歩の医薬情報をつかんで消費者に安全を保障するためには、先ほども申し上げたように、一回のペーパーテストを受かったらそれでいいんだということではなくて、登録販売者となった者にあっても、配置販売に従事する以上は経過措置による業者も既存の置き薬業者と一緒になって定期的な受講を義務化すべきだというふうに、こう考えるわけですが、この点について改めて大臣の見解、決意も含めてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君) まず第一に、法案が成立をするとすれば、やはりその後にしっかりとしてその法案の内容をもう一度業界に徹底する必要があるだろうと、こう考えております。事前の説明でございましたので、なかなか経過がございますので分かりにくかった点もあろうかと思います。しかし、成立すればそれ以上変わりようはないわけですから、やはり成立した法案をもってしっかりとした説明をさせていただきたいとまず思っております。
 もう一つは、現行の法制度においても、例えば薬剤師、薬種商については関係団体等において研修等が実施され、資質の向上の取組が継続的に行われております。正に日進月歩の医薬品情報をしっかりつかみながら、そして正に消費者に安全を与えていくというのが仕事でございますから、そうした形でやっております。
 同様に、配置販売業においても、新制度の下、登録販売者等を配置員とすることとしており、試験に合格し専門家としての資質が確保された登録販売者についてもその資質の向上が図られるよう関係団体等により研修が実施されることは望ましいと考えております。
 また、全員の方が受けていただいて結構でございますけれども、先ほどから申し上げているとおり、長年の経験を有して、おれの年ならという方もいらっしゃるかもしれませんから、そういう方も含めてしっかりとした研修が実施されるということを私ども期待をいたしたいと思いますし、厚生労働省としても必要な助言、指導をしてまいりたいと、このように考えております。
○又市征治君 前回も申し上げたんですが、試験に合格すればこの資格問題みたいなことばっかり問題についついなりがちなんですが、私前回も申し上げました、本当に恒常的なこの講習であるとか研修を制度化をする、そしてこれを受ければ逆に言えば試験に受かれる、こういう仕組みをつくっていく。それで合格したからよしではなしに、更にこの恒常的に講習、研修を受けて資質の向上に自ら努めていく、これが今この業界にも課された社会的な使命になっているんだろうとこう思うんです。
 そういう意味で、先ほどちょっと紹介したように、業界がそんな格好で割れているという問題もあるようですから、是非とも、先ほど、二月に医政局経済課長が経過措置の細目だとか運用についても法律成立後も相談して内容を詰めていきたいと、こういうふうに言ったということですから、この点については局長、是非しっかりとこの業界の皆さんにこの法律ができたらすぐに丁寧にこの点についても求めていく、この努力をしてほしいと思いますが、最後にその点、聞いておきたいと思います。
○政府参考人(福井和夫君) 先ほど大臣の方からも法案が成立後きちっと説明をさせると、こういうお話でございました。
 今、この業界のその団体の状況につきましては、私も委員御指摘のとおりそういう状況にあるかなという具合に思っております。どちらも実は任意団体でございまして、別に私ども法人格を取っておるということでもないわけでございますし、団体間の間のことにつきましては私ども厚生労働省としては言わば中立等距離ということでございますが、いずれにいたしましても、いろいろと誤解等がないように先ほどの大臣の御答弁を踏まえましてしっかりと御説明をさせていただきたいという具合に思っております。
 以上です。
○又市征治君 終わります。
○委員長(山下英利君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、薬事法の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。
 一般用医薬品の情報提供について、一律に努力義務とされていたものを、特にリスクの高いと思われる第一類については本改定により薬剤師の情報提供が義務化されたこと、また、相談があった場合にはすべての医薬品について応答することが義務とされたことは評価できる点です。
 しかし、本改定案は店舗での薬剤師不在といった実態から出発し、新たに薬剤師以外の専門家として登録販売者をつくり医薬品の販売に従事させようというものです。これは本来専門家である薬剤師が情報提供、販売を行うという薬事法の大原則を崩すものであり、このような改定には賛成できません。
 さらに問題なのは経過措置の問題です。現に営業している配置販売業者は法人を含め従来どおり認めるとしています。個人業者についてはその人限りですが、法人事業者については仕組みの上では無資格のまま期限なく業務を行えることになります。配置販売業者が扱う医薬品二百七十成分の中には解熱鎮痛薬、風邪薬など第二類の医薬品も多く含まれます。過去にスモンなどの薬害を拡大した教訓からも専門家の関与の必要があることは言うまでもありません。新制度に当たり、一定期間の必要な経過措置を設けることは当然ですが、永久に旧制度が存続できるという仕組みを経過措置とは断じて認められません。
 本改定は、一般用医薬品をそのリスクの程度に応じて分類し、それぞれに応じた情報提供、販売方法について規制するとしています。リスクに応じて分類することには合理性がありますが、問題はその分類の内容です。改定案では分類に当たって薬事・食品衛生審議会の意見を聴かなければならないとされていますが、昨年の検討部会でのリスク分類では、第一類に分類されるのは現在一般用医薬品とされている四百八十五成分中たった十一成分にすぎません。また、第二類とされているものの中には、医療用で使用されているものも多く、スティーブンス・ジョンソン症候群など重篤な副作用を引き起こしたものも含まれています。これらの分類については見直し、検討を求めるものです。
 なお、違法ドラッグ対策は当然の措置であり、賛成できるものです。
 以上、申し上げまして私の討論とします。
○委員長(山下英利君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 薬事法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(山下英利君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、円君から発言を求められておりますので、これを許します。円より子君。
○円より子君 私は、ただいま可決されました薬事法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    薬事法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、医薬品の適切な選択及び適正な使用の確保のため、新たな一般用医薬品の販売制度が実効あるものとなるよう十分留意すること。
 二、一般用医薬品のリスク分類については、安全性に関する新たな知見や副作用の発生状況等を踏まえ、不断の見直しを図ること。
 三、新たな一般用医薬品の販売制度について、国民が、医薬品のリスク分類によって、販売者、販売の在り方等が異なることを理解し、適正に販売がなされていることを容易に確認できるよう必要な対策を講ずること。また、制度の実効性を確保するよう薬事監視の徹底を図ること。
 四、一般用医薬品の販売に従事する者については、都道府県等と連携し、その資質の向上に努めること。また、登録販売者の試験については、国の関与の下に、都道府県によって難易度等に格差が生じないようにするとともに、その内容についても一定の水準が保たれるよう指導を行うこと。
 五、一般用医薬品の安全性確保については、過去の薬害や副作用による健康被害の発生の教訓を生かす観点から、一般用医薬品によるものと疑われる副作用情報の収集に努めるとともに、収集した情報を速やかに公表するシステム等透明性の向上を図ること。また、医薬品等に係る苦情処理・相談、健康被害救済の充実向上を図るとともに、必要な場合には、適切な受診勧奨など医師等との連携に努めるほか、苦情処理等のための窓口の整備を進めること。
 六、新たな一般用医薬品の販売制度について、十分な周知を図るとともに、医薬品を使用する消費者が医薬品の特性等を十分に理解し、適正に使用することができるよう、知識の普及や啓発のための施策の充実を図ること。また、学校教育においても医薬品の適正使用に関する知識の普及や啓発に努めること。
 七、一般用医薬品のリスク分類の外箱表示については、消費者にとってリスクの程度が容易に理解できるよう、表示方法について十分配慮すること。
 八、国民のニーズに応じた有効性、安全性の優れた一般用医薬品の確保のため、一般用医薬品の審査体制の整備を図るなど必要な対策を講ずること。あわせて、スイッチOTCの検討に当たっては、安全性の確保や適正な使用の推進に十分留意すること。
 九、配置販売業については、既存の配置販売業者に対して、その配置員の資質の向上に向けた取組を行うよう指導するとともに、新制度への移行を促すこと。
 十、無承認医薬品の販売、医薬品や医薬部外品等の品質不良、虚偽誇大広告等に対しては、消費者を保護する観点から、薬事監視員による取締りの一層の強化を図ること。
 十一、違法ドラッグに対する規制については、その実効性を確保するため、迅速に違法ドラッグを指定できるよう運用方法の手順や分析体制の整備を図ること。また、違法ドラッグの取締りに当たる都道府県の事務執行が円滑に行われるよう、検査法の迅速な確立と普及等の基盤整備に努めること。
 十二、違法ドラッグの乱用防止については、その実態を把握することが重要であることにかんがみ、早急に実態調査を行い、その結果を踏まえ必要な対策を講ずること。
 十三、違法ドラッグについては、その使用を未然に防ぐ対策が求められていることにかんがみ、青少年に対する違法ドラッグや麻薬等の薬物の危険性等について十分な啓発を行うこと。
 十四、違法ドラッグの乱用者等については、必要な治療の提供を図るとともに、本人や家族に対するカウンセリング等の支援体制の整備を進めること。
 十五、薬物乱用対策については、違法ドラッグが麻薬や覚せい剤等の乱用の入り口となるおそれがあることにかんがみ、薬物乱用対策に違法ドラッグを含めて、国と都道府県等の地方自治体がこれまで以上に連携して取り組むこと。
 十六、薬物乱用対策は多岐にわたり、また対象となる薬物の種類等により法律が異なっており、所管官庁も複数にまたがること等にかんがみ、薬物対策を総合的、横断的に推進するための方策について検討を行うこと。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(山下英利君) ただいま円君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(山下英利君) 全会一致と認めます。よって、円君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、川崎厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。川崎厚生労働大臣。
○国務大臣(川崎二郎君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
○委員長(山下英利君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十五分散会